区内宮崎に本社を置く(株)協同インターナショナル(池田謙伸代表取締役)と東京工業大学は川崎市の補助金を活用して太陽光発電池の新技術を開発する。開発するのは光を受け発電する装置に用いられる材料のハンダ接合技術。太陽光発電池のコストダウンができ、普及に弾みがつくという。
現在、太陽光発電は自然エネルギーの中でもっとも普及が期待されている。しかし、装置の製造において壁になっているのが材料の価格が軒並み上昇していること。特に接合材のレアメタル(希少金属)の高騰は激しく、同社の調査によれば、装置に使うレアメタルのインジウムは3月上旬では1kgあたり5万2千円だったが、5月には6万9千円とおよそ50%上昇。今では「8万円もする」という。「現状では太陽光発電装置の普及は難しい」と今開発のプロジェクトリーダーを務める三田正弘さんは話す。
同社と東工大が開発するハンダ接合技術はハンダ材のレアメタル含有量を減らしてコストを大幅に下げることがテーマ。現状の100%を1年後には50%にすることが目標だ。
レアメタルは融ける温度が低く、加工しやすいためハンダ材に用いられる。返せばレアメタル含有量が下がることで、加工は難しくなる。東工大ではレアメタルに代わる加工しやすい素材の選定を、同社では、その接合材を使った新しい接合技術を開発するという。
東工大の開発チームを指揮する総合理工学研究所の吉本護教授は「本助成研究で得られる結果は即、太陽電池のコスト低下に大きく貢献することが期待できる」と話す。
三田さんは「代替エネルギーとして太陽光発電の普及は社会の大きなテーマ。普及促進のカギとなるレアメタル使用量削減は、容易なことではないが、実現させたい」と意気込みを語った。
(株)協同インターナショナルは電子部品、機械、食品の3つの異なる業種を扱う地元企業。
以前から東工大とは低コストで低消耗な太陽電池内部の接合技術の開発を行っていたが、市の「産学共同研究開発プロジェクト補助金」を知り応募、採用が決まった。
市経済労働局では「震災後の省エネ対策、次世代エネルギー普及の観点から貢献度が高いと判断した。企業と大学、互いの長所を活かし役割分担ができているプロジェクトとしても高評価だった」と話す。
産学協同研究開発プロジェクトは市内の中小企業社が大学等と連携し、新技術、新製品の開発・研究促進を目的としている。今年度は新規の交付が3社、継続の交付が4社となった。
なお、今年度は東日本大震災を受け、省エネ・創エネ技術の開発促進するため、補正予算で補助金を増額。事業の拡大を図った。対象は単年度で開発経費の3分の2までとなっている。
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