「つながり」築くヒントに初山の念仏講 東大院生らが現地調査
区内初山地区で古くから受け継がれる「念仏講」を調査するため、東京大学大学院生らが8月から現地での聞き取り等を行っている。伝統を守り続けている理由やそこに住む人々の努力などを解き明かし、人との『つながり』を見つめなおすことが狙いだ。
調査を行っているのは、東京大学大学院新領域創成学科研究科国際協力学専攻の7人ら。院生らはフィールドワーク実習の一環として8月、10月、11月の3回、この念仏講を見学。あわせて参加者に講との関わりについて、聞き取りやアンケートを行った。
初山の念仏講は先祖供養等を目的に代々受け継がれ、現在は住民同士のつながりを維持する役割などを担っている。参加する24軒では毎月15日に持ち回りで「宿」となり、円座で長さ7メートルの数珠を回しながら「南無阿弥陀仏」と唱える。終了後は直会で簡単な酒肴をふるまう。講中でお金を出し合い、くじを引いて当たった人が集まったお金をもらうことができる無尽講や2年に1度の宿泊旅行なども行われている。
今回の調査で初めて講を知ったという東大大学院生の星香織さんは「人との関係が浅くなりがちな現代社会で、こうした講が今も続けられ、地域における繋がりを維持する役目を果たしている」と話す。講長の松井文雄さん(81)は「自分たちにとっては、念仏講がある暮らしが当たり前。事情で講を抜けてしまった家もあるが、代々続いている講を自分の代で終わらせたくないという意識は皆の中にあると思う」と話す。
この念仏講を取材し、大学院生がこの念仏講を知ったきっかけにもなったドキュメンタリー映画「うつし世の静寂に」のプロデューサー小倉美恵子さん(土橋在住)は「東日本大震災をきっかけに、特に若年層が人との絆や自然とのつながりを見つめ直すようになった。かつての農村から急速に都市へと発展した宮前区は、各地区でこうした講が今も続いており、希少な地域といえるのでは」と話す。
調査は11月いっぱい行われ、年内にまとめられるという。
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4月19日
4月12日