宮前警察署の嘱託医を27年間勤めた 福島 芳彦さん 野川在住 76歳
温かみある地域医療を
○…宮前署の開署以来、27年にわたって嘱託医をつとめ、3月末で引退した。「通常の業務では得られない経験をさせてもらった。無事に勤めげることができて今はホッとしている」と穏やかな表情で話す。先月28日に感謝状を贈った同署・山下繁夫署長も「長い間本当にご苦労様でした」とねぎらいの言葉をかけた。
○…嘱託医の業務は、署に留置されている容疑者らへの定期健診や夜間の緊急往診、署員の予防接種など、警察業務のなかで多岐にわたる。時には事件現場にも出向いた。「母親に殺害され、ビニール袋に入れられた状態で見つかった乳児の遺体など今でも記憶に残っている」と心を痛めたエピソードもある。福島内科医院の創業者でもある。医院の開院は1976年。宮前署が開署した86年から嘱託医として多忙な日々を送った。「組織や地域の医師として当然の仕事をしただけ。長かったか短かったどうかはわかりませんね」と謙そんするが、区内の地域医療への貢献は大きい。
○…長野県出身。医者だった父や叔父の影響で自身も医師の道を志す。都立大病院など勤務医を経て40歳で開業した。「当時このあたりは空き地や草野原も多かった」と目を細める。宮前区医師会会長や小中学校の校医、県医師会でも要職を務めるなど地域医療ひと筋。現在は医院での診療も次男に引継ぎ、一部の診療のほか一線からは退いている。「技術や仕組みが複雑化していっても人と人との温かみの分かる医師が増えてくれたらいい」と願いを語る。
○…4月以降は次男が宮前署の嘱託医に就いた。「緊急要請もある仕事だという自覚を持って」と次男には伝えた。「ただ、心配はしていません」とニコリ。趣味の1つが旅行。昨年秋に行ったカナダ旅行では帰路の飛行機内で急病患者の診察にもあたった。「医者の不養生といわれないよう、定期健診や体重には気を使っています」と笑った。
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3月22日
3月15日