「第48回かわさき市美術展」彫刻・立体造形部門で特選を受賞した 砂田 紘子さん 五所塚在住 74歳
「馬鹿の壁を超えて」
○…大小の黒い球、力を合わせ現在から未来へ―。市で最も歴史ある公募展「かわさき市美術展」で特選を受賞した。宇宙へ飛び出す力強さを感じさせる陶芸作品は、納得がいくまで素焼きと野焼きを繰り返したという。陶芸を始めて約11年。これまでも市や県のシニア大会などに出展し、数々の入賞を果たしてきた。その腕は陶芸雑誌で取り上げられるほど。「1回1回が自分と作品との勝負」と、何カ月もかけて大作をつくりあげる。
○…中学校美術の教員として38年間、市内7校で教鞭をとった。専門は油絵。陶芸は書物上の知識だけ。本質を知らずに教えることに疑問を持っていた。定年後、陶芸を学ぶため美濃焼で有名な岐阜県多治見の工業高校陶芸科へ。若い生徒らに混ざって2年間学んだ。卒業後、自宅に工房と釜場を設置。「退職金は全部使ってしまった」と笑う。公募展に出展するほか、年末にはガレッジセールを開き、工房見学もできるようにしている。地元中学校に陶芸を教えに行くことも。「地域に根差し、地域の皆に芸術に触れてもらいたい」
○…宮崎県出身。「兵隊を慰問する絵画作品に選ばれたり、近所の大学教授に絵を見てもらったりする中で自信がついた」と幼少期を振り返る。五所塚に住んで13年、現在は7人の孫のおばあちゃん。祭の掲示板作りや公園の装飾など、地域で頼りにされる存在だ。「いつも周りの同世代に刺激を受け、教わってばかり」とも。「五所塚は第2の故郷」と嬉しそうに話す。
○…モットーは「馬鹿の壁を超えて」。何をするときも「そんなにしなくても」と思われる程、徹底的に突き詰めていく。時には周囲を心配させるが、「陶芸を学びに行けたのも家族の協力があってこそ」と感謝の気持ちを忘れない。その想いは創作活動にも通ずる。「まだまだこれから、体が続くまで粘土を練っていたい」。止まない向上心で次回作を構想中だ。
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4月19日
4月12日