認知症の人やその家族を地域で支えようと、宮前図書館が「認知症の人にやさしい図書館プロジェクト」を進めている。市の地域包括ケアシステムの一環として、福祉機関と連携した情報提供やイベント企画などに取り組む。
同プロジェクトでは、主に以下のような認知症に関する取組を行う▽関連本のコーナー設置▽関連機関のチラシ配布やポスター掲示▽関連本やウェブサイトのリスト作成▽高齢者福祉施設への出張イベント企画▽認知症に関するセミナー等への参入。家族や関係者に向けた情報支援とともに、当事者に向けては絵本や昔の本などを用いた脳の活性化(回想法)で認知症予防・ケアにつなげたい考え。地域の自助や助け合いのため市が進めている「地域包括ケアシステム」の一環として、土日祝日や夜間にも利用できる図書館の強みを生かしたサービスを提供していく。
市によると2015年時点の市内の認知症高齢者数は推計2万9900人で、宮前区の人口に照らし合わせるとおよそ4500人超。25年には約1・5倍になると予想されている。高齢者の利用が多い宮前図書館でも、認知症と思われる利用者が見受けられることが少なくないという。
この状況を受けて、同図書館では昨年8月に試験的に認知症関連書籍を集めた展示を実施。企画した職員の舟田彰さんは「60冊ほど用意したがすぐになくなった。地域の認知症に対するニーズを感じた」と振り返る。
今回のプロジェクトでは今年新設された区の地域みまもり支援センターや市健康福祉局、区内地域包括支援センターらと連携。認知症に関する情報提供や意見交換、区民から相談があった際に専門機関に紹介する体制を整えている。現在、常設の認知症コーナーには100冊を超える関連本が並ぶ。今後は認知症関連講座、セミナーへの本の提供や福祉関連施設への本の貸出などを想定している。すでに、区内のデイケア施設に出向いて利用者に本を提供する企画も始めた。舟田さんは「昔懐かしの本を読んでもらうことで脳が刺激される。間接的にケアや予防につながれば」と話す。市健康福祉局担当者は「他区の図書館の取組にも生かせる事例になれば」と話した。
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