新春市長インタビュー 首都圏を牽引する川崎に まちの特徴・強みを活用し、グッドサイクル創出へ
年頭を飾るにあたり、本紙では阿部孝夫市長に恒例のインタビューを行った。阿部市長は今年を川崎の「新たな飛躍」につながるスタートの年と位置づけ、雇用対策や保育所整備など今年のまちづくりにおける重点政策について語った。
(聞き手 本紙高津区版編集長 木曽祐司ほか)
−昨年の川崎市を振り返ると、JR横須賀線武蔵小杉駅の開業、尻手黒川線の開通などによる交通利便性の向上、また、川崎臨海部における環境、ライフサイエンス分野の発展に寄与する拠点形成の取組など、川崎市の急発展が見える1年だったように思われました。市長ご自身から見た昨年一年の川崎市は?
市長 昨年は、横須賀線武蔵小杉駅の開業や羽田空港の国際化により、本市のポテンシャルが一層高まりました。こうした中で、川崎臨海部・神奈川口におけるライフサイエンス・環境分野の研究開発拠点の形成を先導する中核施設の着実な整備をはじめ、国際競争力の強化に向けた取組や国際環境技術展を契機とした事業展開等による先進的な環境技術を活かした国際社会への貢献など、成長分野における取組が芽吹いた年となりました。
さらに、サッカーのワールドカップでの川崎フロンターレの選手の活躍をはじめ、スポーツや音楽・芸術活動の面でも、本市の活力と魅力が目立った年でした。
また、昨夏は記録的な猛暑でしたが、本市では、行財政改革効果の還元として小中学校への冷房設置を行いましたので、子どもたちはその効果を実感しながら、学業や学校活動に専念できたのではないかと思います。
水と緑活かしたまちづくりを推進
一方で、地方分権改革については、国の改革が進まず、子ども手当の地方負担の議論を含め、本市としても、地方自治体が自主的・自立的な行政運営を行える改革となるよう、国等に働きかけを行ってきました。
−今年一年の重点施策は?
市長 経済・雇用情勢は、いまだ厳しい状況です。また、高齢化の進行や子育て世帯の増加、働き方の多様化への対応が重要だと考えています。こうした中で、中小企業支援や若年者・離職者等の雇用対策に力を入れるとともに、特別養護老人ホームの計画的な整備、保育所の大幅な増設など子育て支援施策の充実、救急体制の充実、さらに建物の耐震化や防犯対策の充実、バリアフリー化の推進など、市民生活の安定確保にしっかりと取り組んでいきます。
また、羽田空港の国際化にあわせ、成長戦略の道筋を明らかにし、これまで取り組んできたライフサイエンス・環境分野の研究開発拠点の形成や、本市の最先端の環境技術を活かした国際社会への貢献、市内企業の技術の高度化や人材育成の推進など、首都圏、日本の成長を牽引していくような取組を一層進めます。
環境施策では、「CCかわさきエコ暮らし」キャンペーンを実施し、3月から開始するミックスペーパーとプラスチック製容器包装の分別収集の普及に取り組むなど、140万市民とともに地球温暖化対策に取り組んでまいりたいと考えています。また、音楽、映像、スポーツのまちづくりを進めます。
−高津区の重点的な取り組みは?
市長 高津区では、久地円筒分水築造70周年を記念した「全国円筒分水サミット2011inたかつ」が、いよいよ1月22日に開催されます。これを契機に、円筒分水の魅力を全国に発信するとともに、水と緑を活かしたまちづくりをさらに進めます。また、「エコシティたかつ」推進方針、「高津大山街道マスタープラン」、「たちばな農のあるまちづくり」推進方針の3つの計画をもとに、引続き具体的なプロジェクトを実施し、魅力ある区づくりを進めていきます。また、区民会議で検討している「新しい形のコミュニティづくり」の具体化に向け、区民のみなさんとともに取り組んでいきます。
−最後に今年の抱負をお聞かせください。
市長 今年は、「川崎再生フロンティアプラン第3期実行計画」及び「新たな行財政改革プラン」を策定し、川崎再生の総仕上げから「新たな飛躍」につなげる3か年のスタートの年です。
また、川崎駅東口駅前広場が、賑わいとゆとりのある川崎の玄関口として生まれ変わるとともに、北部地域を中心に順次開館する川崎の魅力を高める施設、全国・世界規模のスポーツ大会、音楽・芸術イベントの開催など、川崎全体がいきいきと輝きます。こうした川崎の持つ特徴や強みを積極的に活用し、相乗効果が次々に波及していくようなグッドサイクルを創出しながら、引き続き、誰もが住み続けたいと思える持続可能なまちづくりを進め、これまでの取組により出てきた芽を育て、この川崎の地にしっかりと根を張るよう、川崎再生から「新たな飛躍」に向けて全力を尽くしてまいります。今後とも、市民の皆さんの御協力をお願いします。
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3月29日