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高津区版 公開:2014年8月29日 エリアトップへ

高津物語 連載第八五七回 「武州・溝口は、江戸の消費を支える物流センターだった」

公開:2014年8月29日

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 PHP研究所刊の雑誌『歴史街道』(一九九七年六月号)で法政大学名誉教授村上直先生は、表記論文で日頃の自説を展開された。

 『川崎市史』編纂委員長

を務められた実績に加え、多くの方々との幅広い交流の賜物が、この一文に結実している、と思われる。

 論文の主旨は、江戸初期は「良い食べ物」とは、京都・大阪からの「下り荷」として珍重されていた事。

 ところが、江戸中期から

後期にかけ、江戸周辺で造られた商品の品質が向上、生産量が増え「下り荷」を凌駕し始めるのである。

 溝口稲毛屋上田家の醤油造りの如く、江戸日本橋に稲毛屋支店開設に及んだのも、江戸を支える「江戸地回り経済圏」の故で、食料品から奢侈品までさまざまな商品が、江戸と周辺地域で造られる様になった。

 「農村の中にあって商品が集積する地域を在郷町といい、溝口は、まさにこうした在郷町の側面も持っていたこと。又、ここ(溝口)に集まった周辺地域の商品も江戸に運ばれ、溝口は江戸のヒンターランド(後背地)としての性格を強めて行った」と総括された。

 こうして大山街道溝口には、油・醤油・こんにゃく・干菓子・下駄・傘・人形等の加工品が地場産業として定着を見る。

 「江戸が巨大都市として発展して行く様子を見た時、江戸の町だけを見ていたのでは、本質を見失う。江戸を支えていたのは『地回り経済』であることを再認識する必要がある。」

 「その一つの拠点であった溝口は、大都市や地方の城下町とは一味違った面白い歴史を持っている。」

 結論として「江戸の後背地―地域発展の核になっていた二子・溝口は「地方の時代」の時代における地域在り方」を考える上で貴重なヒントを与えてくれる町なのである」と結論付けた。

 先生の講演の最後には、必ず私の『高津物語』を紹介して下さる親切に与かったが、今年二月大雪の日に先生の訃報に接した。享年八十八才。私は『川崎研究』(川崎郷土研究会)第五十二号に先生の学恩を謝して追悼文を書かせて頂いた。
 

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