静雅(せいが)書道会(本部・高津区下作延)の創始者である故・岡本雅堂氏の生誕100年を記念した展覧会が4月26日から東京・銀座で開かれる。中央の権威ある団体には属さず「在野」にこだわり、地域貢献に尽力した岡本氏。生前は個展を開かず、今回が初の開催となる。
岡本雅堂(本名・岡本鞆(とも)吉(きち))氏は、1916(大正5)年に東京・世田谷で生まれる。15歳で書の師匠に師事し、書の道へ。しかし戦争に召集され20代のほとんどを兵役で過ごす。この頃、北満州で現地の小学校の教員と書の練習をし、本格的な書芸術の奥深さに出会ったという。
終戦後は家業の工場を経営していたが、書への情熱は尽きることはなく、地域の文化交流もかねて当時の旧高津図書館のサークルに入会。その書道部を母体とし、1954年に「静雅書道会」を設立した。
当時のことを静雅書道会の2代目会長で雅堂氏の長男である龍哉氏は「父は戦後の青少年の育成を懸念し『若者の将来を支えなきゃいけない』と活動していたと思う」と話す。
会は成長しピーク時には会員1万人を超す団体に。今でも川崎市内最大規模の書道会で、親子4代で通う会員もいる。
「封建的、閉鎖的な中央書壇」と距離を置き「在野」での書の研さんと普及にまい進した。地域貢献活動にも熱心で、会は今でも街頭の募金活動を続けている。龍哉氏によると、川崎市の名誉市民の打診を受けたが雅堂氏が「俺の生き方を見れば分かるだろう」と断ったエピソードもあるという。
雅堂氏の生誕100年記念展は4月26日(火)〜5月1日(日)、東京・銀座の「セントラルミュージアム銀座」(中央区銀座3の9の11紙パルプ会館5階)で開かれる。午前10時〜午後6時(入場は5時半まで。1日の入場は午後3時半まで)。
雅堂氏の個展は初。生前に弟子が開催を勧めても雅堂氏は「私が生きている時にはやらない。他界したら弟子たちで考えてほしい」と語ったという。会場には雅堂氏の作品124点と臨書作品などが展示される。
「書の専門知識がない人が『感動した』と褒めてくれた雅堂の作品。父の生き様を作品の中で感じ取ってほしい」と龍哉氏は話す。
記念展に関する問合せは静雅書道会【電話】044・844・1121へ。
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