高津物語 連載第九七六回 「立正学園溝口幼稚園」
「立正学園溝口小学校付属幼稚園の入園手続きが開始される」という日の早朝、午前四時頃―真っ暗の早朝、まさかと思って様子を見に行った。
そして驚いた。
薄暗い校門前に、十人位の男性が、順番待ちで並んでいて、ジロリと人の顔を見た。
吃驚した、「もう並んでいるよ」と。
世のお父さんというものは、此処迄(ここまで)やるのか?と、正直、吃驚させられた。
一旦、家に戻り、温かい恰好をして戻り、私も無口な集団の一人として、腕を組み、目をつぶり集団の中の一人となった。
「立正学園溝口小学校付属幼稚園」が、どれ程の人気があるか、競争率がどれ程なのか、私達は全然知識を持ち合わせなかった。
しかし、受験生の父兄が並んでいるから、自分たちも人並みに、並んだというに過ぎない。
何故なら、他所のお父さんが早朝から並んでいるのに自分の家だけ並ばない訳にゆかないではないか?
私立学校の―公立もそうだと思うが―入学には、親―特に男親の当然の義務である、という常識がまかり通っている様だった。
私自身が私立学校の教員を勤める様になっても、この現象についての正確な情報は、何も得ることが出来なかった。
言えることは、こんなに朝早くから入学希望者が並ぶ程、人気がある幼稚園なのだと思われた―のが正直な感想である。
という事は、よもや学校が志望者が少なくて、閉校になる等とは、夢にも考えることはなかった。
子供が無事合格し、母親が父母会の役員となり、学校に行く機会が増え、学校の内容に触れていても、学校に対しての一つの疑問も出る筈もなかったのだ。
言うなれば、幼稚園の教育方針に、親も子も全幅の信頼を寄せていたと言えるだろう。
幼稚園は、これでよかったのだと思うが、小学校はほとんどの人が公立に進み、上がる人はあまり居なかった。
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