ふるさと納税による川崎市の2015年度の税収赤字が、約12億2千万円に上ることが分かった。その額は今年度もさらに増えるとみられるが、市は制度本来の趣旨に沿って寄付を受け入れていく構えだ。
人口減少に悩む地方自治体が税収を確保する策として豪華な返礼品で寄付を集めようとするなど過熱さを増しているふるさと納税。
川崎市でも「川崎市ふるさと応援寄附金」として寄付を呼びかけているが、15年度は他自治体への寄付による住民税の流出額が12億8145万4千円に上り、寄付の受入れ額5973万2644円との差額は12億2172万1356円のマイナスとなった。また、今年度も4月から12月までの寄付の受入れ額は1936万1914円に留まり、前年度を下回る見通しで、流出額についても18億円に上るとする総務省の試算も出ている。
政策で競う
この状況について市財政局は「地方創生のための制度であり、都市から地方に税金が流れるのは制度上やむをえない」との姿勢だ。また、返礼品についても「本来の趣旨からして、大都市が返礼品競争に加わるのは適当でない」との考えを示す。川崎市には特産品も多いが、市は10万円以上の寄付に限り「感謝状と生田緑地関連グッズの記念品」を返礼品としているのみだ。
市は返礼品の充実ではなく、「応援したくなる政策」で寄付を受入れようと寄付金の使い道として子育て支援や音楽・映像・スポーツ推進への活用など21項目を掲げる。一昨年には「動物愛護センターの動物への支援」を新たに追加し、項目別で最も多い565万2600円(98件)の寄付を集め一定の成果を出した。国が豪華な返礼品に対する改善策の検討に入る方針を示す中、市は「今後の動向を注視しつつ制度本来の趣旨に沿った見直しを図っていきたい」としている。
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