高津物語 連載第九九〇回「第百回久末農産物品評会」
川崎市が市制を敷く以前大正五年一二月から百年間堂々として開催されてきた「久末農産物品評会」が今回遂に百回を迎えられ、記念誌が刊行された。
頂戴した記念の一冊は私にとっても大切な一冊。
父は戦時中から戦後にかけ現高津中校地にあった県農事試験場長で、久末地区農業機械化に全力で取り組んだ。当時小学生の私は父の真剣な姿を見ている。
久末では昔から野菜を積極的に栽培。品質が良く、市場でも別格扱いで、野菜栽培に自信をもっていた久末の人達は、お互いの生産技術の交流と農業振興を図るため、栽培技術向上に熱心に取り組み、そのきっかけとなったのが、久末村青年団活動資金調達のため、久末農産物品評会が開催された。第一回久末農産物品評会は大正五年一二月一日、妙法寺本堂で開催された。
大根、かぶ、人参、山野菜等自慢の品が並んだ。
久末では太平洋戦争中の食糧統制実施下でも100点近くの出品があり、久末の人々の熱心さと熱い思いが伝わってくる。
後の会場の各小学校講堂は、地元青年団の若さと勇気、情熱に溢れ、私も「品評会」独特の雰囲気を、講堂で味わった記憶がある。戦争が激しくなり、陸軍部隊が学校に駐屯するようになったり、久末以外の品評会は自然消滅してしまう。おそらく、「品評会どころじゃないよ」と言いたかったのだろうけれど、それを押し引きって、続けられた「久末青年団」の熱意と情熱に心からなる敬意と尊敬の拍手を送りたいと思う。
戦中のあの状況で、よくぞ存続してきた、と驚きの感慨を禁じ得ない。美味しく、品質の良く、安い久末の野菜が作られている畑で直に買えることを、高津区民のほどんどが知らないのは、何とも残念である。
今回の記念誌で「久末農業の歴史」を『高津物語』から引用される光栄に浴した。感謝と共に、久末農業の御繁栄を祈るものだ。
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