市民館で公演される演劇「地蔵通り、メルヘン商店街」の作・演出を手掛ける 丸尾 聡さん 枡形在住 49歳
最高の瞬間のために
○…20歳から83歳までの地元アマチュア劇団と一般公募で集まった市民約30人が多摩市民館で演劇を披露する。その指揮を執る。「まだ1カ月ある。仕上がりはもっと期待できる」とサングラス越しに目を細める。今回の作品は、さびれていく商店街の活性化を目指して商店主らが奮闘する様子を描いた。笑いあり、涙ありのエンターテインメントだ。「川崎は市民劇が活動を積み重ねているので、一般の人のレベルが高い」と手応えを感じている。
○…多摩区に住んで30年になる。昔あった商店がなくなり、商店街が変わっていく様子を見続けてきた。「日本中でまち並みが均一化している。パーソナルな触れ合いがあり、暮らしている人が充実して誇りを持って生きていけることが、結果的に経済の活性化にもつながる」。地元の1人として少しでも盛り上げたいという思いがこの作品に込められている。
○…高校で演劇部に所属し、「色々な人が色々な役割で参加すると、本番は思った以上のものができる。最高に面白い瞬間」と魅了された。大学では演劇科を選び、在学中に劇団を立ち上げた。今では劇作家、演出家、シナリオライター、俳優として数々の作品を生み出してきた。一人一人の人間を丁寧に描き、社会状況や歴史を浮かび上がらせる作風で知られる。「非戦を選ぶ演劇人の会」にも名を連ね、チャリティ活動にも取り組む。演劇を通じて社会にメッセージを送り続けている。
○…演劇漬けの毎日の中、趣味といえば温泉に入ること。地方に行けばその土地の温泉を楽しむ。のんびりしているときも頭のどこかではストーリーを考えているという。「演劇とは煎じ詰めると『人はどうやって生きると幸せか』ということにつきる」。これからの目標は「川崎独自のものを作っていくこと」。市民劇のレベルが高い川崎だからこそ、可能な新しい劇があると信じている。
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4月5日