成年後見制度 市長の申立てが増加 身寄りのない高齢者に対応
判断能力の不十分な人の権利を保護し、支援するための成年後見制度。これまでは親族や弁護士らが申立てをするケースが一般的だったが、近年、自治体の首長が申立てるケースが全国的に急増している。川崎市でも増加しており、今後、費用負担といった影響が懸念される。
成年後見制度は、認知症や知的障害、精神障害などで判断能力が不十分な人を保護し、支援するために2000年に施行された。財産管理や介護、施設への入退所の契約、遺産分割といった法律行為を自身で行うことが困難と考えられ、悪徳商法の被害から守るのが目的。
同制度は家庭裁判所に申立てを行い、家裁が支援してくれる人を選ぶというもの。申立てができる人は決まっており、首長も含まれているが、これまでは親族や弁護士、司法書士といった専門家が一般的だった。
ただ近年、申立てが可能な配偶者や四親等内の親族がいない、あるいは親族はいるが音信不通などの理由で、市区町村長が申立てを行うケースが全国で急増している。最高裁のデータでは制度を創設して以来、年々増加し、2012年には全体の13・2%を占めた。その後も増加する傾向が続いているという。
今年度予算285万円
川崎市は65歳未満を障害計画課が担当し、65歳以上を地域包括ケア推進室が担当している。川崎市長が申立てを行った13年度の件数は65歳未満が10件、65歳以上が77件の計87件に対し、翌14年度は65歳未満が13件、65歳以上が89件の計102件と増加している。
市健康福祉局地域包括ケア推進室によると、家裁に申立てる際の「郵便料」のほか、「審判の申立て手数料」「嘱託の登記料」「診断書料」、場合によっては「鑑定料」などの手数料が1人7千円〜9千円かかるという。市が費用を支払い、その後に家裁が本人に支払い能力があると判断した場合は返金される。
市はその予算として15年度は285万6千円を計上している。内訳は郵便料43万4千円、家裁手数料242万2千円。13年度決算では、申立て金額が117万3076円で、そのうち本人請求が87万3030円あり、最終的な市の負担額は30万46円だった。
今後、申立て件数の増加が予想され、市の費用負担が増える懸念がある。
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3月29日