神奈川県は今月、土地取引や公共事業用地取得の目安になる基準地価(7月1日時点)の調査結果を発表した。川崎市では住宅地の上昇率が0・9%と前年から0・2ポイント縮小し、麻生区がマイナス0・3%と7区で唯一下落に転じた。都心回帰が進み、丘陵地や利便性の低い地域で下落幅が拡大している。
今回の調査対象は住宅地や商業地など県内921地点。川崎市内は住宅地75地点と商業地35地点、工業地3地点、計113地点の価格が示された。
市全体で住宅地の上昇が鈍化している要因について、県土地水資源対策課は「武蔵小杉駅周辺など、都心に近く駅から徒歩圏内の利便性が高い住宅地でも、地価上昇による割高感から上昇幅は縮小しつつある。駅から遠い丘陵地で、人口減少や高齢化が進む地域では、下落幅が拡大傾向にある」と分析。麻生区の住宅地の下落については、「川崎市の地区計画で区画あたりの面積が定められている分譲地が多く、分割して販売できないため、需要が落ちるケースもある」と指摘する。
東急リバブル(株)新百合ヶ丘センターでは「麻生区は全体的にバスの利用頻度が高いため、利便性の良し悪しが地価にも影響している。若い世代が駅近くのマンションに移りやすい傾向があるのも一因」としている。
多摩区はやや上昇
多摩区では住宅地13地点、商業地5地点の価格が示され、住宅地の最高値は「登戸3122番1」の31万6000円で前年比3・6%増。商業地では向ヶ丘遊園駅前広場に接する「登戸2736番5」の69万4000円で4%増。平均の価格と変動率は住宅地が22万3600円で前年比1%増、商業地が42万9000円で2・6%増だった。
多摩区の特徴について、県土地水資源対策課は「東京に比較的近いため、緩やかながら上昇傾向にある。基準地が平坦な場所に多いことも価格が安定している要因」としている。
基準地の1平方メートルあたりの標準価格を指す基準地価は、国交省が年1回公表する公示地価(1月1日時点)とともに土地取引の指標として利用される。
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