障害者複合施設「川崎授産学園」(麻生区細山)で1981年の開設以来続く、併設の天体観測室で行われている天体観望会。地域と学園をつなぐ交流行事として、これまでに延べ1万6千人以上が参加している。
学園4階にある、4メートルの開閉式ドームには、2代目になる15センチ屈折望遠鏡を設置。車椅子参加者らが望遠鏡を扱えるよう、ボタン操作で床面が昇降するなどの設備も備わっている。
観測室は同学園の建設にあたり土地を寄付したアマチュア天文研究者の故・箕輪敏行さんが私費を投じて作り上げたものだ。市内小学校で校長も務めた箕輪さんは、1953年から活動している「川崎天文同好会」創設者の一人。市立西生田小学校での天文学習会など、川崎市内で教育と併せ、星空の魅力を広く伝えてきた。そんな箕輪さんが市民連帯や共生の施設として建設された授産学園内に設けたのが天体観測室。現在は同好会メンバーや学生ボランティアなどによって年4回の観望会が行われ、誰でも気軽に学園を訪れることができる機会を提供している。箕輪さんも2014年に亡くなるまで観望会に参加し、あいさつを行っていた。
石井和明学園長は「1986年のハレー彗星の時は3千人の応募があった。早朝の月食など、思い出深い回も多い。川崎の子どもたちのために天体学習の場を、という箕輪先生の意志をこれからも継承したい」と話す。40年近く経過した学園の今後について、建て替え検討などの際は「シンボルでもあるドームは残していきたい」としている。
次回の観望会は7月29日、午後7時から。夏の大三角形や夏の星座などの観望と解説に加え、ブラックライトシアターも予定。詳細は授産学園【電話】044・954・5011。
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