多摩川河川敷で中学1年生の男子生徒が殺害された事件から2年――。認定NPO法人エンパワメントかながわ(横浜市)は昨年から、「中学生暴力防止プログラム」を市内で行う。
実施したのは枡形中(多摩区)、西生田中(麻生区)、金程中(同)、臨港中(川崎区)の4校で生徒、教職員770人を対象に行った。同団体の浜谷典子さんは、「10代の子どもたちを被害者にも加害者にもしないために、『本当に困っていたら大人に相談して』と伝えたい」と話す。
プログラムはスタッフが寸劇を行いながら「いじめを目撃したらどうする?」など、参加者の意見を聞いていく。特に重点を置いて伝えたのは、ピアプレッシャー(仲間同士の抑圧)によりいじめの傍観者になってしまうことだ。
「他人からどう思われるのか過剰に意識する年頃。見て見ぬふりも暴力と同じ」と浜谷さん。「いじめを受けている子の話をただ聞くだけ、先生への相談に付き添うだけでいい。ピアサポート(仲間内支援)に回ることが大切」と伝える。
生徒の一人は「いじめられている子の助け方を知ることができて嬉しかった」と感想を話す。一方で、「罪はだめだけれど、自分の人権と同じように、加害者の人権も尊重しなければならない」という生徒の意見も。浜谷さんは「大人への不信感や将来の不安などを理解して向き合い、『あなたは大切な人』と伝えていきたい」と語った。
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