長沢在住の青木幸夫さん(69)によるミニ企画展「切り絵シリーズ-散歩道で」が、大山街道ふるさと館(高津区)で今月から開かれている。20年前から独学で切り絵を始め、今では川崎市内で個展を開くほか、文化教室や市内中学校などで切り絵の体験講座を行う。
1970年から市立中学校の国語科教員を務め、西高津中などに勤務した青木さん。現在はNPO法人教育活動総合サポートセンターで、不登校児童生徒らの支援活動に従事する。
幼い頃から絵を描くのが好きで、最初の給与で買ったのも油絵の道具だった。しかし、その後は仕事が忙しくなり、絵を描くことから遠ざかっていた。
そんな時、亡くなった知人の遺作展で切り絵と出会ったのが20年前。今まで手がけたことのない切り絵の素晴らしさに触れ、「自分なら違う形で面白くできるのでは」とひらめいた。そこから一念発起し、紙の切り方や貼り合わせ方、糊の調合など全くの独学で始め、毎晩コツコツ制作に勤しんだ。
青木さんの切り絵の特徴は、一切着色をせず、何枚もの和紙や洋紙を重ねて鮮やかな色合いや濃淡、絵の立体感を表現すること。御仏や風景、草花をテーマに、「自分で見てきたものしか作品にしない」というこだわりで、作りたい作品の構図を決めるために全国を旅することもある。
今回のテーマは「散歩道」。地元の身近な風景を題材とし、影向寺(ようごうじ)(宮前区)の老イチョウや生田緑地の日本民家園で行われた民謡「こきりこ」のささら踊りなど6点を展示。展示作品に触れることもでき、青木さんは「切り絵の楽しさはさまざまな紙の特徴を生かし、重ねることで描くこと。ぜひ作品に触れ、何重にも重ね合わせて表現した切り絵の魅力を感じてもらえたら」と話している。展示は7月31日まで。詳細は同館【電話】044・813・4705。
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