寄稿 生活保護費不正受給について 川崎市議会議員 松原しげふみ
神奈川県警察公安2課は、生活保護費を不正受給したとして7月4日詐欺の容疑で中原区上平間に住む46歳の男性を逮捕しました。この容疑者は平成21年4月から平成24年6月までの間に収入があったにもかかわらず無収入と偽り、川崎市から生活保護費約541万円をだまし取ったとしています。
中原区によると容疑者の自宅を担当者が3ヵ月に一度訪問していたが就職していたことは把握できなかったとの事であります。
本市における生活保護費不正受給は平成22年度372件で調定金額は約2億2678万円となっており、その収納率は11・82%にとどまっています(別表)。このうちの56件約5117万円については時効が完成しており、不納欠損として処理されています。その理由としては、返還金発生時に既に納付すべき資産が無いため分割納付を指導したものの失踪等で居所不明となったり債務者の死亡による相続人の相続放棄などによるものとなっています。
生活に困窮された人が最後のセーフティーネットとして生活保護を受けられることは必要でありますが、増加を続ける生活保護に係る事務に対する各区の福祉事務所の対応が追いついていないという現実があります。本年4月1日現在の市内9福祉事務所における生活保護を担当するケースワーカーは世帯数型別基準に基づいて国が定める標準数とされている生活保護受給世帯80世帯に対して1名配置として、288名がいるほかケースワーカーに指導を行う査察指導員が44名、医療・介護援助を担当する係長8名、面接担当係長11名が配置されています。リーマンショック以来増加を続ける生活保護受給世帯への適切な指標を可能とするためベテランのOB職員による援助指導員をはじめとして就労支援を行う自立生活支援相談員や年金指導員などの非常勤職員を配置し生活保護受給者の自立支援が図られています。しかし、国で定める標準数ではとうてい足りない人員となっており標準以上の人員配置が急務になっています。
また返還金の収納率向上に向けた取り組みとして本市では各福祉事務所の関係職員から構成される「生活保護滞納債権確保・適正管理推進会議」を設立し福祉事務所相互の取り組みについての情報交換を行うとともに返還金収納に対する職員の意識向上や情報の共有化による連携強化につとめてまいります。引き続き収納率向上対策の強化を図ることを求めるとともに生活保護費不正受給を見抜くマニュアル作りも進めてまいります。
松原しげふみ
松原しげふみ事務所
TEL:044-751-8855
|
|
|
|
|
|
4月19日
4月12日