快適なセカンドライフを―
シニア世代が明るく健やかなセカンドライフを送る上で大切なのは、身体を健康に保つことだろう。「いつも元気だから大丈夫」「毎年健康診断をしているから問題ない」という人も、年齢的な面でも気をつけなければならないことが増えてくるものだ。
ここ中原区は、専門のクリニックや医院が多く、大学病院や総合病院も立地し、医療施設が充実したエリア。しかし、健康管理や自分でできる心掛けはしておきたいもの。そこで今回、区内の専門医らに、シニア世代に日常的に心掛けてほしいアドバイス等を聞いた。
急な運動は避けよう
加齢に伴い発症しやすい心筋梗塞などの心疾患を専門とする聖マリアンナ医科大学東横病院の心臓病センター長の三須一彦医師は、日常生活に潜む心臓に対する危険な労作や兆候として「急な運動」「風呂」「息切れ」を挙げる。
「急な運動」は、昨今ブームのランニングも当てはまる。「メタボなどを気にして思い立ったようにランニングを始める中高年の方が増えているようですが、ひざや腰をはじめ心臓にも大きな負担がかかります。ウォーキングから徐々に慣れさせたり、体力・筋力を含むメディカルチェックを事前に受けたりすることも必要」と話す。
また家庭内で注意したいのは「風呂」。「熱めの風呂での長湯、脱衣所との寒暖差も心臓にとって負担」。さらに、排便時も「いきむと血圧が上がるため、高血圧の人は特に危険。重い物を持ち上げるのも同様」と注意を呼びかける。
「息切れ」は、年だから仕方ない…と思いがちだが、最近急に息切れを感じるようになった人は要注意。「休んで治まったとしても、狭心症の可能性がある」という。何事も「急な変化」には注意したいところだ。
自分に合ったQOLを
「人は年に勝てない。その分、QOL(クオリティオブライフ/生活の質)を大切に」と話すのは、市立井田病院かわさき総合ケアセンターの宮森正所長。「高齢者は長年の生活スタイルがあり、QOLも人それぞれ。長生きはしたいけど辛い思いはしたくない、病気を治して気分よく過ごしたい、趣味も旅行も楽しみたい、食事は美味しく夜はぐっすり眠りたい…など。病弱になった時にも、家族に迷惑をかけずに病院や施設で過ごすか、一人でも自宅で療養するかも、その人次第でしょう」。
団塊世代の最期の療養場所の不足が懸念される「2025年問題」。社会保障費削減のため長期入院を減らす病院、高額な有料ホーム、独居や老々介護となる家庭…、「老弱になった時の療養場所は究極のQOL」という宮森所長。厚労省が、地域社会で連携協力し自宅や地域で療養場所を確保するという地域包括ケアの方針を明確にしていることを受け、「療養場所を病院や施設に頼りがちだった市民意識がどう変化するか。皆さんが将来を考えることが必要」と話している。
「変化を見逃さないで」
シニア世代にとって気になるのが「65歳以上の4人に1人が認知症かその予備軍」というデータ。日本医科大学の街ぐるみ認知症相談センターの臨床心理士・稲垣千草さんは、「いつもと違う変化を見逃さないで」と話す。例えば、鍋を焦がす、物を無くす、約束事を忘れるなど、今まで出来ていたことが出来ないケースは危険信号という。
もし気になる場合は、早めに専門家に見てもらうことが重要だ。同センターでは相談者の約7割が「問題ない」との結果が出ているとしながらも、「早期発見は認知症の進行を遅らせる意味でも大切」という。また本人が気づかないことも少なくないといい、「家族や周囲の方が認知症のサインを見逃さずに気づいてあげ、支えになってあげてほしい」としている。
認知症の予防について稲垣さんは「生活習慣、運動、バランスのよい食事、対人交流、の4点を心掛けること。糖尿病と高血圧が認知症と関係深いことも分かってきており、日頃から心掛けた生活を送ることが何より大切」と呼びかけている。
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3月29日
3月22日