『かわさき まちづくり政策集2015』シリーズ【3】 市政レポートNo.57 税還元率が約5割!?『地方創生』の名の下で 川崎市議会議員 おしもとよしじ
平成27年度予算を審議する第1回定例会が開会。福田市長は、就任以来、初めての本格的な予算編成にあたり「思い入れのある予算となった」と記者会見で述べています。昨年夏の時点で194億円もの収支不足が見込まれ、非常に厳しい予算編成だったことがこの言葉からも伺えると同時に、国や県などの交付金などに頼らざるを得ない地方財政制度の構造的問題や矛盾点が改めて浮き彫りとなりました。
まず、予算案の内容を見ると、対前年度比較で市税が40億円、地方消費税交付金が92億円伸びた分、国から交付される普通交付税や臨時財政対策債が159億円も大幅減少しています。これは、現行の地方財政制度が地方公共団体間の不均衡を調整し、どの地域に住む国民にも標準的な行政サービスを提供できるよう財源保障を行う設計となっており、本市のような大都市は、税収乏しい地方都市に比べ、不利な取扱いを受けている実態があります。
県との関係でも同様の問題が指摘されています。本市財政局が発表した平成24年度資料によると本市域で徴収された県税額は、約1193億円、本市会計への還元された税額は、約568億円で還元率にして、たったの47・7%です。さらに、県に代わって負担している大都市特例事務(県道管理費や土木出張所費、定時制高校人件費など)の経費は、平成26年度予算概算で約198億円、そのうち県による税制上措置済額は約46億円でその差額、約152億円が本市の持ち出しとなっています。
本市の人口増加は、市域の魅力発信が功を奏して30年まで続き、再開発地域を中心に地価高騰も見込まれ、人口減社会にあっても個人市民税や固定資産税は順調に伸びています。しかしながら、政府の安倍首相肝いりの政策『地方創生』の名の下で実行される現行税制度では、頑張っている自治体がかえって割りを食うばかりです。今年度も普通交付税と臨時財政対策債の決定額は、予算計上額を67億下回り、その穴埋めに使われる51億円の借入金の原資は、「減債基金」です。減債基金とは、将来支払う債権の積立金で、借金の返済金から借り入れるという自転車操業です。私は、市議会議員として今回紹介した国の地方財政制度や県との二重行政、税源委譲を見直し、改善を図って本市の財源不足解消を目指して参ります。※予定していた医療分野については、他の媒体で掲載しますのでご了承下さい。
市議・押本吉司
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3月29日
3月22日