市政レポートNo.68 市営住宅等ストック活用計画の改定に向けて 川崎市議会議員 おしもとよしじ
本市における市営住宅の居住世帯の状況は、10年前に比べ、入居者年齢65歳以上の方が構成比で16・9%増の47・0%(平成17年30・1%)、世帯人員の内、単身世帯の構成比が10・0%増の37・9%(平成17年27・9%)となり、入居者の高齢化・世帯の少人数化が急速に進行しています。これらの数字から、入居世帯の子どもの独立や家族の死別など入居後の家族構成の変化によって、入居区分である住宅の間取りと入居世帯の構成人数にミスマッチが発生している状況も伺え知れます。平成27年4月時点で概ね3人以上の入居を想定する一般向け住宅9699戸に単身者が2592人住んでおり、その割合は26・7%に上ります。公営住宅の目的に鑑みて、このような課題解消による市営住宅の効率的な運営も求められています。
他都市の取組事例を見ると、北海道江別市では、家族等で広い居室に入居する際、条件として将来、「単身になった場合、単身用居室(同一団地内)への住み替えを約束する」誓約書の提出を求める施策や神戸市では、広い住宅に単身で居住する世帯に子育て支援の理解を得た上で住み替える「子育て支援のための住み替え制度」を全国に先駆けて実施しており、両市とも住み替えの際に引越し費用等を補助する制度設計となっています。
また、市営住宅の適正な管理・運営の実施には、住宅使用料の効率的・効果的な運用も欠かせません。運用改善を図るため取組の一つとして、長期滞納者への法的措置や初期未納者に対する対応強化が促されています。これは、議会の議決案件であった滞納使用料に関する訴えの提起等の法的措置を議会側が市長の専決処分事項として指定したことにより、職員の事務処理手続きの平準化・迅速化や使用料の回収率向上、住宅明渡しが進むことによる希望者の入居促進等の効果を期待したものです。具体的に滞納者数が平成22年度の1743名から平成26年度は、942人へ減少、累計収入未済額も最大時で約9億9千万円あったものが約6億7千万円に減少するなど実績も出ています。
高齢者から子育て世帯まで誰もが安心して暮らせる住まいの確保、居住環境の維持・向上は市民の願いです。今後、市営住宅等ストック活用計画の改定が予定されております。上記課題・実績を分析し、超高齢社会における市営住宅のあり方を考察することで、住宅に困窮する低所得者に対する住宅供給という役割だけでなく時代の要請に即した住宅セーフティネット構築にこれからも注力して参ります。
市議・押本吉司
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4月19日
4月12日