バイオリン演歌師として老人ホームなどの高齢者施設などで演奏活動をする 楽四季 一生(たのしきかずお)さん(本名:永吉 一久朗) 宮内在住 64歳
お客さんの喜ぶ顔が「やりがい」
○…袴をまとい、丸メガネにハンチング。バイオリンを弾きながら声高らかに歌うのは、明治末期から大正、昭和初期の流行歌。ボランティアで高齢者施設を回り歌う。「『本当にありがとう』って言ってもらえ、心から喜んでくれているのがわかるから嬉しいね」と笑う。バイオリン演歌は大正時代に火が付き、昭和になると影をひそめた。全国でも数少ない担い手として川崎を中心に、横浜、都内などでも歌っている。
○…バイオリン演歌と出合ったのは40歳を前にした頃。大道芸を伝承する会に顔を出した際にすすめられ初めてバイオリンを手にした。しかし、最初は音を出すのに苦労した。音が出せるようになり、出演した大道芸のイベントでは、見向きもされず、緊張しすぎて舞台で声が上ずってしまうなど苦難の連続だった。「心が折れて、やめようと思った」が、老人ホームで演奏したことが転機に。「懐かしいメロディを聞いたお客さんが涙を流して喜んでくれたのを見て、やりがいに変わったね」と自分の居場所を見つけた。
○…出身は鹿児島県で、上京すると横浜で会社員生活を送った。今の夫人と出会ってからは中原区に移り住み、自営をしている。昔から好奇心旺盛で気になるとすぐに始めるタイプ。昨年は、カヌーにも挑戦した。ほかにも、民謡、胡弓、マラソンなど、ジャンルにとらわれず楽しむ。「何事も一生懸命」。これが座右の銘だ。
○…演奏活動を続けて25年。ボランティアで老人ホームを回るうち、少しずつ噂が広まり、今では月に4、5回は市内外の施設で歌っている。「昔の曲をやる人が少ないから、喜んでもらえるんだろうね」。ステージでは笛を吹いたり、お客さんに合わせて曲を変えたりと、楽しんでもらうのが楽四季流。現在はCD制作にも取り組む。「3枚組で60数曲収録する予定。平成のバイオリン演歌として自分の作品を残したいね」
|
|
|
|
|
|
4月12日