二ヶ領用水を開削した代官・小泉次大夫が約400年前に建立した妙泉寺の跡地に建つ祖師堂(小杉陣屋町)。無住職のため、信徒や参詣者らにより管理・運営されてきた珍しい祖師堂が、約100年の時を経て再建された。
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妙泉寺は、徳川家康や秀忠が鷹狩りなどで江戸と地方を行き来するために利用した中原街道の休憩地として、小泉次大夫により1600年頃に建立された。当初は次大夫が帰依していた安房国小湊(千葉県)の妙本寺から住職・日純を招いたが、その後川崎区に本堂を移したため無住職に。その跡地には碑が建てられていたが、大正時代、信徒や参詣者らにより日蓮を祀った祖師堂が改めて建立された。以降、日蓮の命日に行われる御会式などの運営や、境内・墓地の草むしりなどの清掃活動など、地域の手で保持してきた。
しかし、数十年前から建物の老朽化が目立ち、建替え話が浮上。その費用を捻出しようと、祖師堂の世話人を務める菅田祥一郎さん(66)が中心となり、関係者から寄付を募ってきた。また、現役の大工でもある菅田さんが設計から工事まで、仕事の合間を縫い約2年かけ祖師堂を再建させた。「信徒や参詣者、地域の皆様のご協力を頂き完成できた。歴史があり関係者の心の拠り所。何とか保持したい思いが叶い良かった」と菅田さん。
先月行われた落慶式には約40人が参加。開眼供養の導師を務めた日蓮宗法田寺住職の岸顕崇さんは「寺院なき後も地域の方の手で守られてきた珍しいケース。更に講中の結束が高まり、自分自身の信仰と改めて向き合い精進するきっかけとなれば」と話した。
今月15日(土)、新たな祖師堂で初の御会式が行われる。
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