神明大神おびしゃ保存会の会長を務める 野口 新二さん 中丸子在住 71歳
伝統のおびしゃを次世代に
○…中丸子の神明大神に江戸時代から伝わる新春行事「おびしゃ」。一般的な的を目がけて矢を射り五穀豊穣を占うものとは違い、しめ縄を作り神社に奉納する行事をいう。今年も地域の住民が約70人で長さ5mにもなるしめ縄を2本作り、本殿とご神木に飾りつけた。「今年の出来栄えは最高。みんなの気持ちが一つにならないと、これだけきめ細かくより合ったしめ縄はできないよ。完成した時は涙が出るくらい感激したね」と笑みがこぼれる。
○…父が総代長だったということもあり、神事に携わる大きな背中をいつも眺めてきた。「おびしゃはずっと見てきたけど、昔は先輩たちが何かやってたなくらいの記憶しかない」と当時を振り返る。しかし、父の他界を機に、おびしゃなどの神事に積極的に携わるようになった。保存会の会長を務めて4年ほどになるが「会長だから責任は大きいけど、地域のみんなが素直で良い人だから、安心してできるよね」と仲間への信頼が滲む。
○…生まれも育ちも中丸子。玉川小に通い、多摩川での釣りが大好きな少年だったという。趣味の剣道は、中高の部活動のほか、川崎市役所に就職した後からずっと続けている。六段の腕前で現在は川崎区剣道連盟の会長を務める。「剣道は『打たれて学ぶ』と言うけど、心を謙虚に自分を磨けということ。自分を見つめ直すというのは神社の行事と近いものがあるよね」
○…保存会では高齢化が進み、後継者不足に頭を悩ませている。そんな中でも今年のおびしゃには、地域の新住民が4人参加した。今以上に神社、行事を地域に浸透させ、伝統のおびしゃを次世代に継承できる土壌づくりに力を注ぐ。「自分たちが作ったしめ縄が本殿に飾られるのを見ると、非常に感慨深いものがある。そのことを伝えていきたいし、若い人にも神社へ親しみを持ってもらえるように、魅力を伝えていきたいね」
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3月22日
3月15日