「エスカレーターに乗ったら、歩かずに手すりにつかまって―」。片側歩行が慣例化しているエスカレーターの適正利用を呼びかけようと、川崎市は今月、鉄道事業者らとともに武蔵小杉駅などでキャンペーンを行った。
エスカレーターは現状、片側は手すりにつかまって立ち止まり、もう片側は歩行用として空けて利用するのが慣例化している。しかし、一般社団法人日本エレベーター協会では、ホームページ上で「エスカレーターでの歩行は禁止」と呼びかけている。
エスカレーターでの事故やトラブルは度々発生しているという。JR東日本によると、「酒酔い状態で歩行しバランスを崩して転倒する」、「転倒したことにより他の利用者を巻き込みケガをさせる」、「片側を歩く人の荷物が子どもにぶつかりケガを負わせる」などのケースが多く、状況によっては大きな事故にも繋がりかねないと指摘する。
川崎市では、2009年から毎年エスカレーターの適正利用を呼びかける取り組みを行っている。昨年は、全国の鉄道事業者らと共催し「みんなで手すりにつかまろうキャンペーン」を実施し、市民や利用者への啓発を強化。今年も8月9・10日に、川崎駅と武蔵小杉駅でチラシの配布やプラカードなどで適正利用を呼び掛けた。市の担当者は「夏休み期間ということもあってか、旅行バッグを横に置くなど呼びかけに応じた利用がみられた。しかし、課題は朝の通勤・通学のラッシュ時や混雑時。取り組みを継続し、徐々に浸透させていくしかない」と話す。
市内では、2007年に川崎駅のエスカレーターで利用者が足を負傷する事故、2014年には武蔵小杉駅のエスカレーターが逆走し多数のケガ人も発生している。特に武蔵小杉駅は近年の人口の増加に伴い利用者が激増しており、事故を防ぐためのマナー順守が求められている。JR東日本の広報担当は「利用者の中には、障害があったりギプスにより片手が使えないなどの理由で、片側の手すりしか利用できない人がいる。子連れの方にも配慮し、歩かず手すりにつかまり利用する必要性をご理解いただきたい」としている。
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