昭和音楽大学学生会東日本大震災プロジェクトのリーダー 仲里 貴一さん 昭和音楽大学3年
傷ついた心に音楽を
○…東日本大震災発生のニュースを研修先のロンドンで知った。全てを押し流す津波の映像に形容しがたい衝撃を受けた。「音大生の自分が出来ることは何か」─。帰りの飛行機の中でひとり黙々と考えた。辛く悲しい時に自分を支えてくれたのは音楽。被災者に音楽を届ける方法を必死で考え、現地に楽器などを送ることを思いついた。「これから長い期間をかけ、継続的にやることが重要」。学内外に協力者を募り、自らが卒業した後も続けられる方法を模索している。
○…昭和音楽大学でアートマネジメントコースで舞台運営を学ぶ。音楽への最初の興味は母の故郷沖縄でよく聴いていた「カチャーシー」。伝統舞踊に合わせる独特のリズムと音色に魅了された。ピアノや吹奏楽に勤しむ思春期を送る中、たまたま観にいった合唱コンサートで音楽が持つ力と、それを魅せる舞台作りに興味を持った。「人の心を癒し、ふるわせるような舞台を作ってみたい」。夢に向かって勉学に励む日々が続く。
○…親に負担をかけまいと奨学金で音大に進んだ。焼き肉店、コンサートホールと2つのアルバイトを掛け持ちし、学費などに充てている。「今は全ての経験を、夢につながる糧として頑張りたい。アルバイトからも色々なことを吸収し、”人間作り”に役立てたい」と真っ直ぐな目で語る。
○…被災地に再び音楽が奏でられる日を取り戻すためのプロジェクトには多くの人が共鳴し、現在30人の協力者が一緒に活動を支えてくれている。楽器購入のために現在、3回のチャリティーコンサートを企画。成功のために試行錯誤の日々が続く。「将来、舞台運営を志す自分にとってはよい経験。音楽を通じ、皆を幸せにできるよう精一杯尽くしたい」
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