来月13日、百合丘でクロアチア音楽を取り入れたピアノリサイタルを行う 安達 朋博さん 世田谷区在住 28歳
名も無き音楽に光を
○…クロアチア音楽の第一人者として、全国でピアノリサイタルを行う。分裂や侵略の暗い歴史の中で、日の目を見なかった同国の作曲家の譜面を発掘し、日本の聴衆に発信してきた。「クロアチア音楽との出会いが人生を変えてくれた。運命的に出会えたこの国の音楽を、多くの人に伝えられれば」。演奏活動は10年にも及ぶ。日本人が見たことも聴いたこともない音楽を聴衆の胸をつくレベルにまで昇華させる作業は困難を極める。歴史の中に消えていった音楽家たちの声に耳を傾ける日々が続く。
○…83年生まれ、京都府出身。8歳でピアノ教室に通い始めた。音楽とは無縁の家庭環境でピアニストを志したのは高校の進路を決める時期だった。音大受験という無謀な挑戦を諌めようとピアノ講師がセッティングした堺国際ピアノコンクール(高校の部)で第3位に輝くと、一躍注目の存在に。外国人審査員らの絶賛を受け、海外留学を決意する。師事した音楽家が教鞭をとるクロアチアの高等音楽院へ単身で渡った。
○…慣れない海外生活。音楽の英才教育を受けた各国の精鋭たちに圧倒された。自分の才能に自問自答する日々。挫折のさなかに出会ったのがクロアチア音楽だった。「心を優しく癒してくれる音楽に初めて出会った。どんどん興味が沸いてきて、むさぼる様に研究に没頭した。まさに運命的な出会い」。帰国後、07年に正式デビュー。クロアチア音楽の数少ない演奏者として活躍を続ける。
○…クロアチアでの生活の基盤を置いた「リエカ市」は川崎市の姉妹都市。よく似た港町を有する川崎市への愛着も深い。今年は川崎市での演奏活動に力を注ぎたいとPRにも力が入る。「文化芸術に理解がある川崎市の皆さんなら、クロアチアの作曲家たちが曲に込めた思いを受け止めてくれるのではないかと思う」。百合丘でのリサイタルを皮切りに、イケメンピアニストの疾走が始まる。
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