シベリア抑留体験 歴史資料で平和訴える 30日から展示会
第二次世界大戦後、多くの日本人らがシベリア各地で強制労働に従事した歴史を物語る展示会が11月30日(金)から12月5日(水)まで、高津市民館で開催される。この「シベリア抑留関係展示会」は現地での写真、絵画、関連資料などを通じ、抑留体験者の思いや、平和の尊さなどを後世に伝える。
主催は財団法人「全国強制抑留者協会」(東京都千代田区、相沢英之会長)、後援は総務省、川崎市、川崎市教育委員会。同協会は、シベリアに抑留された人々の経験を後世に伝え、将来の平和構築に寄与することなどを目的にしている。数々の貴重な歴史的資料の展示を通じ、来場者に戦争の悲惨さ、平和の尊さについて改めて考えてほしいと呼び掛けている。
シベリア抑留関係展示会はこれまで全国各地で開かれてきたが、今企画を運営する神奈川県展示会実行委員会の遠藤尚次委員長によると、同協会主催による神奈川県内での開催は初めてという。
過酷を極める生活資料を展示
会場では、抑留体験者が描いた絵画、慰霊訪問や地方建立慰霊碑などを写した写真を多数掲示。さらに収容所分布図や、防寒着など現地着用被服、抑留者の身上書、抑留力の通信はがきなど、過酷を極める環境下での生活の実態を物語る資料なども展示する。
このほか、12月2日(日)午後2時から11階視聴覚室で「抑留体験の苦労を語り継ぐ集い」を開催。約3年半の抑留を体験した遠藤委員長が当時の経験を語る。
「平和の尊さ」を考える
「抑留地で、多くの戦友が死んでいった」と遠藤委員長。「『生きて帰れない』という虚無感、連日の重労働、あまりの寒さが重なり、抑留された最初の1年間で最も多くの仲間が亡くなった」と当時を追憶する。「(この展示会を通じ)ひとりでも多くの人たちに、抑留の歴史を子や孫に語り継いでもらいたい」
厚生労働省によると、終戦後シベリアを中心に旧ソ連各地に運ばれ、強制労働に従事した日本軍人等は約57万人。このうち約5万5000人が、極寒の環境下での重労働や飢餓、疫病などで死亡したという。
シベリア抑留関係展示会は期間中、午前10時から午後5時まで開催。入場無料。
問い合わせは、高津市民館(【電話】044・814・7603)まで。
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