麻生区、多摩区で聴けるラジオのコミュニティFM局「エフエムエーティー」(FMAT)を開設しようと、加藤寛理(ひろまさ)さん(33)=多摩区西生田在住=ら市民グループ「新川崎放送協会」が準備を進めている。6月頃にNPO法人を設立する予定で、年内の開局を目指す。
地域に根づき、地元の話題をラジオで届けたい――。新川崎放送協会は、インターネットラジオ「ピテラジ」(本社・大阪府)で、番組進行役のパーソナリティーを務めていた、元プロ音楽家の加藤さんが発起人。同局のパーソナリティー、出浦啓介さん(38)と2人で共同代表を務める。メンバーには加藤さんの妻で声優、ナレーターの岩永彩希(さき)さん(26)のほか、作家や役者ら20代から30代の11人が名を連ねる。
加藤さんはラジオ用の無線を扱う免許を今月中に取得予定。加藤さんは「開局には5千万円の資金が必要と言われている。大口のスポンサーを10社は確保したい」と話す。設備面では、放送局に必要な演奏所(スタジオ)と送信所(アンテナ)の設置場所を選定するほか、周波数を決めるための潜在電界調査、開局の免許取得が必要だという。
商店、団体と関係深め
開局を目指すきっかけは5年前、ピテラジの東京支部を設立しようと、加藤さんが夫婦で多摩区へ引っ越してきたこと。約3年にわたり、数十分の番組を毎月15本ほど制作、配信してきた。放送の規模拡大を考えていた2年前の秋、ラジオ局開設に向けて、ピテラジの関係者を中心にメンバーを集め、準備に着手。加藤さんは「この地域は、生田緑地やよみうりランドなど、タレントが揃っているのにチームがないイメージ。ラジオを通じてもっと地元のことをよく知って、情報を発信できるコミュニティをつくりたい」と思いを語る。
今後は地元商店や市民団体との関係づくりを進め、行政や大学、企業とも連携しながら、ファン獲得と情報収集を目指していく。
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