川崎市内にある3カ所の児童相談所で受けた2016年度の児童虐待相談・通告件数が2千件を超え、過去最多を更新した。15年度に比べ214件の増加となった。
区別で見ると最多が川崎区の538件で、中原区351件、高津区292件、幸区282件、宮前区241件、多摩区224件、麻生区199件と続く。麻生区は件数でみると最少だが、前年度と比較すると54件の増加となり、伸び率は137%となり、7区の中で最も高い結果となった。
通告の認識向上と増加する心理的虐待
今回発表された児童虐待相談・通告件数は16年度に市内3カ所の児童相談所(こども家庭センター、中部児童相談所、北部児童相談所)で受けたものの合計。その後の調査で虐待の事実が無かったものも含まれるが、川崎市では「虐待は増加していると感じられる」との認識を持つ。
15年度に比べ200件以上の増加を見せたことに対して市では、通告義務の認識が市民の中で高まったことを一因としてあげる一方、直接的な虐待の他、夫婦間の激しい言い争いや暴力を目撃することで心に傷を負う「心理的虐待」への相談・通告件数が急増していることも指摘する。
心理的虐待の前年度比は188件増で、身体的(36件増)、性的(3件増)、ネグレクト(13件減)と比べ大きな伸びを示している。また件数も1237件と全体の半数以上を占め、ほかの虐待と比べて非常に多くなっている。
児童虐待防止に市担当者は「まず子育てに関して独りで悩まないこと。関係機関の相談窓口を積極的に活用してほしい。一方で地域では悩みを聞いてあげられる関係づくりや子どもたちの変化を見逃さない見守りの目をもってほしい」などと話した。
虐待を見聞きした際の通報や相談は北部児童相談所(【電話】044・931・4300)が受け付けている。
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