神奈川県全域・東京多摩地域の地域情報紙

  • search
  • LINE
  • MailBan
  • X
  • Facebook
  • RSS
麻生区版 公開:2017年7月28日 エリアトップへ

川崎市折鶴の会・森政忠雄さん 「被爆の真実」語り12年

社会

公開:2017年7月28日

  • X
  • LINE
  • hatena
被爆体験を語る森政さん
被爆体験を語る森政さん

 広島に原爆が投下され72年目の夏、中原区にある川崎市平和館で7月29日(土)から「原爆展・特別展」が開催される。そこで講演する森政忠雄さん=上麻生在住=(83)は、数少なくなった被爆者の語り部の一人だ。自らの体験を伝え、原爆の悲惨さや命の尊さを子どもたちに教え続けている。

 森政さんが語り部になったのは71歳の時。当時小5の孫娘から「夏休みの自由研究で広島の原爆について調べたい」と相談されたことがきっかけだった。忌まわしく悲惨な記憶はそれまで、誰にも話すことは無かったが「子どもの教育のために」と語る決心をした。

 森政さんが被爆したのは11歳の時。爆心地から3・7Km離れた小学校の渡り廊下で、閃光と身体を吹き飛ばす爆風に襲われた。何とか自宅に戻り防空壕で身を潜め、しばらくして外に出ると、黒く焼け焦げた人や苦しそうに水を求める声、まさに地獄絵図だった。

 森政さんの両親と兄妹は無事だったが、その後に家族で話題にすることは無かった。6年前、がんを患っていた兄から「語り部とは良いことしとる。ならば俺の話も加えてくれ」と、初めて被爆当時の会話を交わした。語られたのは、動かない母の上で母乳を飲んでいた乳児、建物の下敷きになっていた人、そんな人たちに何も出来なかった後悔の念。そしてそれが兄の遺言となった。

 活動の中で森政さんは被害者の立場だけで語ってはいないという。「当時の日本の教育や中国や朝鮮半島への侵略などの背景を、公平かつ客観的に語らなければ教育にはならない」との思いからだ。

「私も限りがある」

 川崎市は1982年に、核兵器の廃絶と軍縮を求める「核兵器廃絶平和都市宣言」を表明。森政さんが会長を務める原爆被害者団体、川崎市折鶴の会でも、教育教材に活用してもらおうと活動記録をまとめた書籍を2013年に発行し市内の小中高校や図書館に寄贈した。しかし講演依頼は広島や市外の小中学校からが多く、川崎からは今まで1校のみという。

 「川崎の子どもたちにも原爆の悲惨さや命の尊さを伝えたい。私も限りがある」。語り部の仲間5人は、他界したり入院したりし今は活動していない。「元気な今のうちに。依頼があれば1人でも受ける」。

 「原爆展・特別展」は7月29日(土)から9月3日(日)まで。森政さんは8月5日(土)に講演予定。(問)川崎市折鶴の会【メール】kawasakiorizuru@gmail.com
 

麻生区版のローカルニュース最新6

旧黒川村を散策

旧黒川村を散策

5月11日 麻生観光協会

3月29日

気持ちの良い麻生川へ

川崎麻生RC

気持ちの良い麻生川へ

桜まつりに向け清掃

3月29日

合同美術展で連携を

合同美術展で連携を

王禅寺団地自治会館で

3月29日

23年度「最も活躍した子」に

上麻生在住今井結菜さん

23年度「最も活躍した子」に

地域団体から表彰

3月29日

麻生の歴史を絵本に

川崎新都心街づくり財団

麻生の歴史を絵本に

市内全小学校へ寄贈予定

3月29日

「災害時、開いてます」

市薬剤師会

「災害時、開いてます」

436店舗で一斉防災訓練

3月29日

あっとほーむデスク

  • 3月29日0:00更新

  • 3月1日0:00更新

  • 1月19日0:00更新

麻生区版のあっとほーむデスク一覧へ

バックナンバー最新号:2024年3月29日号

もっと見る

閉じる

お問い合わせ

外部リンク

Twitter

Facebook