待機児童や保育士の待遇などが社会問題となる中、市民団体「川崎市保育問題交流会」が8日、「保育の質」をテーマにした勉強会を高津区のてくのかわさきで開いた。保育問題に精通する関東学院大学の中西新太郎教授を講師に迎え、保護者や公立、私立保育園に勤務する保育士、労働組合職員など50人が参加した。
格差を危惧
中西教授は、国の保育の指針やその意図、それに伴う施策、保育士不足が起きている理由などを解説した。
特に、待機児童解消のために「既存施設の活用や多様な保育の推進」を掲げていることを注視。多様化の名のもとに、高い保育料で付加価値を付けたサービスを提供する園がある一方で、それを払えない保護者は最低限の保育のみ提供する園を選ばざるを得ないなど、保育の格差が広がる危険性を指摘する。
中西教授は「設置形態、保育環境、保育士の労働条件など異なる中、どんな子にも共通の保育を提供できるよう、明確な基準やモノサシづくりが絶対に必要。行政自治体に求めていかなければならない」と訴えた。
講演後の発言・交流会である保護者は「昨夏から保活を始めた。のびのび育ってほしいと思う一方、人気の高い保育園は入れず、復職できないのではないかという不安でいっぱいだった」と切実な思いを語った。
同会は今年春に発足。保護者や現役、元保育士など20人ほどが集まり、定期的に意見交流会を行っている。認可保育園など市内316園に実態調査のアンケートを実施。今後はデータの活用法の検討や発達障害についてなど様々なテーマに取り組むという。
保護者で発起人の川岸卓哉さんは「子どものために、よりよい保育を求める活動につなげたい」と話す。
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