県立川崎高校の茶道部を50年指導する 大橋 暲子さん 幸区東小倉在住 73歳
生徒見守る茶室の祖母
○…20代の頃、師匠の手伝いで県立川崎高校の茶道部を指導し始めた。以来50年間、裏千家の点前を150人以上に指導している。木造2階建ての校舎も知る「学校の生き字引」として教職員からの信頼も厚く、2月には部活動の優れた外部指導者に贈られる「かながわ部活ドリーム大賞 インストラクター賞」を学校からの推薦で受賞した。
○…稽古は週に1度。「部屋に入る時は右足から」、「器はもう少し手前ね」。和室に凛と正座し、キビキビと指導する。物腰は柔らかく、時折談笑も混じる。話題はテストや髪型のことから、戦争や地震の話まで様々だ。「生徒は孫みたいなもの。ついついしゃべりすぎちゃう」といたずらっぽく笑う。もてなしの作法である茶道を通じて生徒に教えるのは「相手を思いやる心」。「お点前ももちろん覚えてほしいけど、何よりも、人間味のあるいいお母さんになってほしい」。実の祖母のような目で、生徒たちを見守る。
○…中国の青島(チンタオ)生まれ。父親の仕事の関係で転居が多く、その後長崎、岡山を経て川崎市幸区に移り住んだ。戦後間もない小向の街に住み、国道1号線が整備されていく様子を間近で見て育った。その後の川崎の発展には「小川が流れているような所だったのに、こんな風になるとは」と驚く。現在は東小倉在住。稽古時は必ず和服で、もちろん着付けは自ら行う。「生徒が待っていてくれると思うと『シャキッとしなきゃ』って。元気をもらっています」。大病をしたことも一度もない。
○…「昔の生徒に『来年で定年です』なんて言われると、自分でもびっくりします」。数十年付き合いを続けている教え子も多く、文化祭などの催しには今でも各世代の生徒たちが手伝いに来てくれるという。長年続けてきた指導は、大きな家族を作っていた。「いつも生徒がいてくれたから続けてこられました。感謝の気持ちは忘れません」
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4月19日
4月12日