第13代川崎消防団団長に就任した 工藤 宏さん 渡田新町在住 73歳
唯一無二の宝を胸に
○…市内で一番の古株消防団を率いる。消防団の活動は、火災や災害が起きた際に方々から団員が駆けつけ、一致団結して消防士をサポートするほか、地域住民の安心・安全を守るために、訓練や研修等を受けて防災活動や予防、広報活動などを担う。11月30日に行われた交代式では、多くの人から激励を受けた。「前団長から志を引き継ぎ、130人の団員をしっかりとまとめて全身全霊を傾けたい」と、決意を語る。
○…消防団歴51年。家業である建築の仕事を手伝っていた20歳過ぎの頃、知り合いの職人に誘われたことがきっかけで入団した。先輩からの厳しい指導や訓練を経て、第3分団長、本団の役職を経て、副団長へとステップアップした。団長としての現在があるのは「いつも一緒に協力し合ってきた仲間」という財産があるから。それが消防団の最大の魅力でもあり、自身を51年間支えてくれた礎でもある。最近は消防団の数も減少しつつあるが、だからこそ、仲間の輪を広げたいと願う。
○…青春時代は石原裕次郎や小林旭など、往年の映画スターに憧れた。部屋には昭和の香りがするポスターやレコードなどが並ぶ。「昔の娯楽といったら映画。街で裕次郎を偶然見かけた時のことは未だに忘れられない」。消防団の話をする時とはまた違った表情で、顔を上気させる。
○…50年間ともに団員として歩んできた、前団長の奥山義男さんが亡くなったのは11月17日のことだった。時には先輩として厳しい指導もしてくれた、かけがえのない仲間。旅行に出かけると夜遅くまで酒を飲みながら、消防団の未来について熱く語り合ったという。葬儀では団員らが見守る中、語りかけるように読み上げた弔辞に、皆が肩を震わせた。「50年の思い出、俺の唯一無二の宝として大事に胸にしまっておくよ」。兄貴と慕った同志との時間と経験を糧に、新たなスタートを切った。
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4月19日
4月12日