市ふれあい館ウリハッキョ 故郷韓国で作品展 「在日の姿知ってもらえた」
川崎市ふれあい館の高齢者識字学級「ウリハッキョ」の作品展がこのほど、韓国・釜山(プサン)で開かれた。多くの在日コリアンのハルモニ(日本語でおばあちゃん)が教室で手掛けた習字などの作品が飾られた。1世のハルモニ3人も現地で講演。「自分たちらしく生きている在日コリアンの姿を故郷の人たちに知ってもらえた」と識字学級のボランティアは意義を強調する。
「ウリハッキョに通う在日1世の多くは、慶尚南道(キョンサンナムド)出身。厳しかったこれまでの暮らしを乗り越え、高齢にも関わらず、字の読み書きに励み、自分たちらしく生きている。そうした姿を彼女たちの故郷の人たちに知ってもらいたい」。ウリハッキョで共同学習者と呼ばれるボランティアの鈴木宏子さんは釜山での開催の目的について語る。
04年に設立され、毎週火曜日に桜本で開催しているウリハッキョは、お茶やお菓子を食べながら会話を楽しみつつ、作文や習字、絵画などに取り組んでいる。現在は在日韓国朝鮮人をはじめ、ニューカマー系の韓国人や南米出身者らが参加するが、もともとは在日1世の生活史を残すことが目的。関係者の韓国での開催にこだわった理由につながる。
「ハルモニたちの作品展in釜山」は現地のNGO団体の協力を得て釜山市内にある民主公園での3月21日から23日まで開かれた。習字や絵、作文など200点余りが展示されたほか、毛糸帽子の絵を描く体験教室や現地の50〜60代の識字教室との交流も行われた。
ウリハッキョに通う金芳子(キムパンジャ)さん、呉琴祚(オクムジョ)さん、徐類順(ソスユン)さんの3人のハルモニも現地を訪れ、識字学級に対する思いなどを語った。当初は「わざわざ日本から恥をかく必要がない」と気乗りしなかったことを明かした金さんだが「現地のボランティアの丁寧な対応や立派な展示が見られて良かった」と嬉しそうに語った。
印象的だったのはハルモニたちの刺激を受け、現地の識字学級に通うオモニ(お母さん)たちも識字学級に寄せる思いを語り始めたシーン。鈴木さんは「様々な事情で学校に通うことができなかった年老いた女性たち人前で話すことは韓国社会では稀有な光景ではなかったか」と話す。作品展を通じて韓国社会における在日コリアンのイメージにも一石を投じたのではないかとも指摘する。鈴木さんは「韓国で在日といえば、パチンコで儲けて楽をしているもしくは、かわいそうで打ちひしがれているというイメージがあるが、彼女達は故郷を捨てたわけではない。帰れない理由があった。ハルモニの存在が共に学ぶ日本人共同学習者にも大きな影響を与えていることを伝えられたのでは」と語る。
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4月19日
4月12日