福田市長（右）に署名を手渡す市民団体のメンバー
ヘイトスピーチ（憎悪と差別の扇動表現）のない川崎へ――。市民団体「ヘイトスピーチを許さないかわさき市民ネットワーク」（社会福祉法人青丘社、川崎・富川市民交流会、クラック川崎呼びかけ）が12日、福田紀彦市長にヘイト根絶を求める約３万筆分の署名を手渡した。ヘイト解消法案が今国会で成立する見通しともなり、福田市長は「自治体としてやれることはやる」と述べた。同ネットは「新しい一歩」と評価。今後は市と連携し根絶に向けた取り組みを進め、市教育委員会にも働きかけを行っていく。 （５月16日起稿）
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在日コリアンをはじめ外国人市民を標的にしたヘイトスピーチデモは全国的に行われ、川崎では２０１３年からこれまで12回実施されている。昨年11月と今年１月には在日コリアンが多く住む桜本地区をターゲットに展開された。
同ネットは昨年12月に発足。１月23日の市民集会を皮切りに、３月末まで署名活動を行った。川崎市内だけでなく全国から寄せられ、約２カ月半で３万１５５３筆分の署名が集まった。
福田市長を訪れたのは、同ネット代表の関田寛雄さん、趙良葉（チョウ ヤンヨブ）さん、裵重度（ペェ チュンド）さん、崔江以子（チェ カンイジャ）さんら。署名提出にあたり関田さんは「外国人の子が日本を好きになるよう、多文化共生が守られるようしていただきたい」と訴えた。趙さんは「孫世代は日本国籍。（差別主義者の中には）自分の身内や先祖には朝鮮にルーツのある者はいる。ヘイトスピーチは先祖たちに向けて行っていることと同じ」と力を込めた。裵さんは「署名に多くの日本人市民が賛同の意思を示した。川崎市は多文化共生で国の施策の先鞭をつけた実績もある。力強い牽引を」と市長の決断力を促し、崔さんは成立見通しのヘイト解消法案に触れ「川崎市が全国に先駆けて一歩も二歩も根絶に向けての歩みを進めていただきたい」と迫った。
４人それぞれの思いに耳を傾けた福田市長は「ヘイトスピーチは残念で恥ずかしい。自治体としてやれることはやり（ヘイトスピーチが）行われないようにしたい」と応じた。
これから本格スタート
福田市長の発言を受け、同ネット事務局の三浦知人さんは「思いを受け止めていただいた。これからが本格的なスタート」と語った。
今後は市と連携を深めてヘイトスピーチを根絶する「川崎モデル」の構築に意欲を示した。具体的には学習会などを通じ規制などの条例の提案を行う。また、インターネット上で在日コリアンに対する心無い書き込みへの対策についても取り組む。「ヘイトスピーチをなくすには教育が必要。まずは学校教師に現状や理解してもらう必要がある」とし、教員研修の実施などを市教育委員会へ働きかける。
５月30日 緊急学習報告会
ヘイト根絶法案が成立する見込みとなったことを受け、同ネットは５月30日（金）、川崎市教育文化会館第６・７会議室で緊急学習報告会を開催する。
テーマは「（仮題）全会一致のヘイトスピーチ対策法案の成立と地域社会（予定）」。弁護士で外国人人権法連絡会の師岡さんを講師に自治体の条例化に向けた活用を考える。資料代３００円。
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