市民団体「かわさきの在日高齢者と結ぶ2000人ネットワーク」が識字学級で日本語の読み書きを学習した在日高齢者が書き綴った自分史をまとめた冊子『一字一字におもいをこめて』を発行した。2011年6月の『おもいはふかく』に続く2冊目の発行。
川崎市ふれあい館の高齢者識字学級「ウリマダン」や高齢者サークル「トラヂの会」に関わる6人の高齢者の自分史を収録する。
日系移民女性の2人は、親が日本から船に乗って南米へ渡った話や小学校に途中までしか通えず、辛い思いをしたこと、戦争、家政婦などの仕事の思い出、渡日後の生活などを綴る。4人の在日コリアン(韓国・朝鮮人)1世のハルモニ(おばあさん)は、朝鮮半島から日本へ渡った記憶をはじめ、働くために各地を転々とした思い出、高度成長期の川崎区臨海部の街並みや生活史、自身のルーツを訪ねる旅話などを紹介する。ヘイトスピーチ(差別と憎悪の扇動表現)についても言及し「悲しい思いをした」心情を記す。
それぞれの思い出話と関連した当時の写真も掲載し、当時を知ることができる。作文のほか絵や習字、詩なども収録。共同学習者の所感も綴られている。
同ネットワークの三浦知人さんによると「川崎区桜本地区は在日コリアン1世が生活を積み重ねてきた町。こうした表現活動が花開き、自分らしく生きられるようになった」という。冊子に収録される作品については「厳しい時代を生きてきた人たちが自らの力で思いを込めて綴った。書いた文字や文には、心に訴えかけるものがある」とし、「差別と戦争を生き延びてきた足跡を次の世代に引き継ぐ意味でも手に取ってもらいたい」と話す。
冊子はA4判で174ページ。青丘社で頒布している。価格は1000円。
問い合わせは、青丘社(【電話】044・288・2997)もしくは、三浦さん(【携帯電話】090・9837・2623)へ。
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