川崎市教育委員会は幸区南加瀬3丁目の「深瀬家長屋門」を6月30日、川崎市重要歴史記念物に指定した。市指定の文化財件数は112件となり、個人所有の建造物が指定されるのは2件目となる。
今回指定された長屋門は18世紀に建築されたもの。木造平屋建(中2階あり)、寄棟造(よせむねづくり)、桟瓦葺(さんがわらぶき)で桁行(幅)約15・5m、梁行(奥行)約3・6m。
長屋門とは江戸時代の武家屋敷の門で、両側が長屋になっており、そこに家臣を住まわせていた。武家以外では農村の名主など、限られた層にしか建築は許されていなかった。深瀬家は同家所蔵文書において1730年から1845年の4世代にわたって南加瀬村の名主を務めたことが確認されている。当時は作人の住居や米の納屋として使われていた。
深瀬家の長屋門は1987年に藁葺屋根から瓦葺屋根にするなど大規模な改修工事を行っている。その際、文化財修復の第一人者である持田武夫氏が、文化財的価値を尊重した保存修理を行い、当初部材と構造形式が良好に継承された。
市の記録によると長屋門は一時、解体されたことになっており、歴史から姿を消していた。昨年、その事実が明らかになり、市教育委員会が調査したところ、長屋門の実態を伝える建築として貴重な存在であることが明らかになり、今回の指定となった。個人所有の建造物としては安藤家長屋門(中原区)以来5年ぶり。
文化財指定をうけ、所有者である深瀬家15代当主の深瀬哲夫さんは「奇跡的に戦火を免れ、代々守ってきたものが、また陽の目を見ることになり大変嬉しい。後世に残すにあたって、市の協力を得られるのも有り難い」と喜んだ。
市文化財は幸区に6件、川崎区に25件となった。
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