毎年12月14日に赤穂浪士の遺品を一般公開する真宗大谷派稱名寺の住職 本多 和(かず)さん 下平間在住 68歳
歴史を伝承、地域と共に
○…歌舞伎やドラマで有名な忠臣蔵で知られる赤穂浪士の遺品17点を例年、討ち入りの日に一般公開している。中には市重要文化財に指定された「紙本着色四十七士像」もある。約300人の市民やファンが訪れる中、一日5回ほど作品の説明や歴史、背景などを解説する。「だんだん体力が持たなくなってきているが、ファンや地域の方に楽しんでほしい」と家族や門徒(檀家)に支えられながら続ける。「近隣の住民に知ってもらい、地元のことを見返してもらうきっかけになれば」
○…一般公開は1959年、太平洋戦争で焼失した本堂の再建を機に、父親である先代の住職が始めた。当時は小学生で「関心はあまりなかった」と笑うが、戦禍を免れた歴史的価値のある品々に興味がわき、資料や文献など読むうちに、その重要性を感じたという。「今は伝え続けなければならない宿命を感じている」。2年程前には、兵庫県赤穂市にある赤穂城跡地も訪れるなど好奇心は尽きない。
○…48年、下平間生まれ。寺院の周囲は田んぼに囲まれ、自然あふれる中で育った。下平間小学校の一期生で、子どもの頃は年末になると商店街を赤穂浪士の衣装を着た人たちが練り歩き、「とても賑やかだった」と懐かしむ。現在は母と長男夫婦、2人の孫との7人家族。832年から続く寺院の住職として一年中決まった休みは無く、「旅先の旅館から呼び戻されることも少なくない」と苦笑する。
○…「常に地域とともにあり続けたい」との思いから、4月の花まつりには親子を招き、紙芝居や人形劇を披露する。広島、長崎の原爆投下日、8月15日の終戦の日には、近隣児童らと共に平和を願い、鐘を撞く。「悲惨な出来事があったことを忘れないために続けている」。また、除夜の鐘に募る浄財は自然災害の被災地へ送る。そして毎日、境内で手を合わせる人を見るたびに「この地域に溶け込んだ支えとなっていたら嬉しいですね」。
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