起業志す女性 市内で増加 創業セミナー欠員待ちも
相模原市産業振興財団によれば、市内で起業を志す女性が増えているという。同財団と橋本図書館の共催で行う創業・起業ビジネス相談会では、一般参加者の半数以上が女性だった回もあるなど、今年度の女性参加者の割合は、高水準だった昨年の約30%を上回り、40%に迫る勢いで推移している。同財団では女性参加率向上を受け、10・11月には5コマの臨時相談会も開催したが、全て満席に。今後は女性に焦点をあてたセミナーの開催も予定している。
同財団によれば、セミナーに参加する女性はほぼ企業の在職者。結婚を機に退職を考えているなど、「今の仕事を行いながらも、将来を見据えて、自分の可能性を探しているのではないか」と分析する。
仕事を作る楽しさ実感
南区で昨年2月から、手づくりリースの製作販売を始めた萩原恵美子さんもその一人。大学卒業後、中学・高校の教員となったが、先住民族の文化に関心を持ち単身アラスカへ。帰国後は不登校児の教育相談員を務めていた。リース製作は、部屋の片づけをしていた際、布の端切れを見つけたのがきっかけ。アメリカで暮らした中学高校時代、布を使ったリース作りに打ち込んだ記憶が蘇った。帰国後は不登校児の教育相談員を務めていた。「リースを作りたいという気持ちに蓋をすることができなかった」と萩原さん。教育相談員の傍ら、個展や講座を開くなど熱中。「自分の可能性を試したい」とリース一本で生きていく道を選んだ。起業して1年。一つのリースを作るのに1カ月費やし、全てオーダーメードという萩原さんのリースは着実にリピーターを増やしている。起業について「一歩踏み出すまではあれこれ余計なことを考え、不安にもなりました。今は、自分で仕事を作る楽しさを実感しています」と笑った。
子育て合間に資格勉強
育児に追われながら起業をめざす女性もいる。淵野辺本町在住の渡邉美千代さんは6歳の長女と2歳の次女を持つ二児の母だ。結婚後、長年勤めていた会社を退職。派遣社員として働き始めたが、出産を機に専業主婦となった。「出産後、落ち着いたら仕事を探したい」という漠然とした思いはあったものの、子育てに追われる毎日。就業への思いは自然と先延ばしになっていったという。そんなある日、子育てに疲れて立ち寄ったお気に入りの天然石店で、カラーセラピーで使う14色のボトルに目を奪われる。会社員時代から「色」に関心があったせいか、その魅力に惹かれるまでに時間はかからなかった。
色を使った癒しを与えるカラーセラピー。子どもが寝付いた夜の合間を縫って勉強し、昨年6月、初めて資格を取得。今年10月にはカラースクール講師の免許も取った。育児中に取得したベビーマッサージの資格も活用し、今年自宅で色と心でふれあう子育てサロンを開設。今月中には法人手続きを行う予定だ。「色の魅力をママたちに伝え、子育てを楽にする気づきを与えたい」と前を見つめる。
渡邉さんは起業について「パートナーの理解があったことが大きい」と話す。「『挑戦すれば』と言ってくれました。ここまで本格的に行うとは思っていなかったかもしれませんが」。主婦業との両立については「家庭を守ることが基盤です。そのうえで、自分にできることをやりたかった」と話した。
女性に特化したセミナーも
同財団によれば、女性の起業志望者は、本業で稼ぐために起業を志す人より、渡邉さんのようにパートナーの収入で家庭を安定させつつ、プラスアルファで自身が何かできないかと模索する人が多いという。
こうした傾向も踏まえ、同財団では市内の男女共同参画推進センターであるソレイユさがみと共催で2月に「女性のための事業の始め方セミナー」を予定するなど、バックアップに力を入れる。女性特有の不安を解消し、潜在的なビジネス能力を発揮できる起業環境を整えていく意向だ。
|
|
|
|
|
|