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相模原市立博物館レポvol・3 自然が作った芸術作品 地質担当学芸員 河尻 清和

公開:2015年6月18日

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石のステンドグラスのようなカンラン岩の偏光顕微鏡写真。カンラン岩は地球内部のマントルを構成している岩石で、主にカンラン石からできている。カンラン石は宝石としてはペリドットと呼ばれ、8月の誕生石でもある
石のステンドグラスのようなカンラン岩の偏光顕微鏡写真。カンラン岩は地球内部のマントルを構成している岩石で、主にカンラン石からできている。カンラン石は宝石としてはペリドットと呼ばれ、8月の誕生石でもある

岩石の偏光顕微鏡観察

 岩石を研究するために欠かすことのできない研究手法のひとつに、「偏光顕微鏡観察」があります。岩石は一種類以上の鉱物が集まってできており、偏光顕微鏡観察では、構成されている鉱物の種類・大きさ・形、隣の鉱物との関係などを調べ、岩石がどのようにしてできたのかを知ることができます。ある地域で見られる岩石を詳しく調べれば、その地域の大地の成り立ちを知ることができるのです。

 偏光顕微鏡で岩石を観察するには、光が通るくらいに岩石を薄くした薄片を作製します。薄片の厚さは0.03㎜、千円札の3分の1の厚さ。偏光顕微鏡での観察はただ単にモノを大きく見るだけではありません。偏光板と呼ばれる2枚のフィルターが装着されており、光が偏光板と鉱物を通過するときの性質を利用して薄片を観察します。これを通して鉱物を見ると、肉眼で見るのとは違った色で見えますが、偏光版は色のついたフィルターではありません。偏光版は平行なスリットの入ったフィルターで、ある一定の方向の光だけを通すことができます。

 偏光顕微鏡の偏光板は、薄片を挟むようにして上下に装着してあります。下の偏光版を通過した光は鉱物を通過するときに二つに分かれます。これらの光が上の偏光板を通過すると一つに合成されます。このときに色がついて見えるようになるのです(=写真)。鉱物によって見え方が異なるので、鉱物の種類を見分けることができます。

 岩石を偏光顕微鏡で観察すると、白、灰、黒のモノトーンから赤、青、黄などの極彩色まで、様々な色に出合えます。また、計算して描かれたような幾何学模様など、実に豊かに彩られた世界が広がります。まさにステンドグラスや万華鏡のようです。その美しさから多くの研究者を魅了してきました。

 当館では6月28日(日)まで、約40種類の岩石の偏光顕微鏡写真を展示するミニ企画展「石のステンドグラス〜岩石の顕微鏡写真展〜」を開催しています。普段の生活の中で顕微鏡をのぞく機会はほとんどありません。ぜひ、ご来場いただき、自然が作り出した芸術作品を楽しんでください。

(問)相模原市立博物館【電話】042・750・8030
 

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