6月13日に市が公表した下水道事業の無断接続や受益者負担金の徴収漏れなどの問題について、市総務部コンプライアンス推進課が実施した行政監察の結果が11日に発表され、職員の認識不足、書類手続きの不徹底などずさんな管理体制がミスの背景にあったと断定した。担当する下水道経営課では、引き続き調査を進めるとともに、再発防止策を早期にとりまとめていく構え。この問題を受け、市は近く処分を公表する見通し。
市下水道事業の複数のミスをめぐっては、2013年に実施された外部監査で使用料などについての指摘や、翌2014年に一般住民からの公共下水道の無断接続に関する問い合わせを受け、調査を進める中で発覚。主に、使用料の徴収猶予となっていた総額約12億6900万円のうち、約3億8100万円が時効の5年間を過ぎて徴収不能の状況に陥っていることや、無断接続による公共下水道使用料の未納世帯の確認漏れ、減免手続きの誤登録などがわかっている。
今回の行政監察は一連のミスの発生要因の分析と再発防止に向けた改善策を示すためのもので、6月13日から8月31日までの期間で市総務部コンプライアンス推進課が実施。2006年度以降に事業にあたった退職者12人を含む43人にヒアリングを行ったのに加え、当時の公文書、保管文書などで状況を確認した。
下水道使用料の最大1270件の徴収漏れについては、使用者からの届け出の委任を受けている指定下水道工事店の届け出の提出漏れや遅延によって市が登録できなかったことを要因とした。調査結果では併せて、職員が工事店への提出の指導や周知を怠ったことや登録世帯の現地未確認、職員間の引き継ぎ不足も指摘している。
公共下水道の無断接続と遡及徴収については、2007年度から2009年度にかけて抜き打ちで行われた実態調査で、使用開始などの届け出を提出しないために下水道使用料が徴収されなかった家屋が約3100件あったことから、随時、使用料の徴収が開始したとされる以前の経緯を確認した。
その結果、この調査結果をまとめた決裁文書が見つかったものの、文書の保存期間が1年間だけと短かったことや、遡及しての使用料徴収に関して条例が定めた徴収の手続きの点で職員の解釈に誤認があったことがわかった。こうした不適切な事務の状況について、文書の起案者、部長らは決裁文書作成時にこの事態を問題にしないなど認識が欠如していたほか、上司への報告や報道提供もされていなかった。監察結果では下水道接続が1039件確認され、地方自治法規定により約9700万円が徴収可能であったと推定されることも明らかになった。
事務など職務に甘さ
下水道事業での受益者負担金の徴収漏れと、徴収を猶予した土地の一部での時効による債権の消滅については、主に職員の時効認識の誤りや猶予理由がなくなった土地を職員が現地調査など情報収集を怠ったこと、届け出の適切な処理を行わなかったことなど事務のずさんさが要因とされた。加えて、監察結果では「徴収不能と見込まれる土地」の中に、一部債権が継続している土地があることもわかっている。
この問題を受けて、市は、市議会9月定例会議に公共下水道事業収益とする1億3321万円を一般会計補正予算案に計上した。13日の建設委員会では予算案や一連の下水道問題について議論され、議員からは情報の共有化など組織体制の強化を求める意見などが上がった。下水道経営課では、予算案の可決後、誤徴収などの返金に速やかに充当していく方針。同課は10月1日付で職員が増員される見込みで、市は調査を加速させていきたい考えだ。
14日に行われた会見で、小星敏行副市長は、この問題による処分を公表することも表明した。
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