熊本県、大分県で甚大な被害をもたらした熊本地震が発生して4カ月が経過した。相模原市では現地などからの要請に応じて職員を派遣。被災地で実際に活動にあたった職員からは、地域の結びつきの重要性や今後、災害時対応に関して見直しを求める声も上がっている。市では今後、そうした職員の意見を市の災害時対応に生かしていく考えだ。
今年4月14日以降に起きた熊本地震は熊本、大分の両県で震災関連死を含め死者81人、住宅の全壊、半壊もしくは一部破損が約17万棟に及ぶなど大きな被害をもたらした。相模原市では国や現地からの要請に応じる形で医療、土木などの各分野で4月20日から現地への職員派遣を開始。8月8日現在で約260人を被災地に派遣している。
保健師の目代弥美さんは、市からの第一陣として4月20日から28日まで、熊本県益城町に派遣された。現地では、多くの人が身を寄せた大型展示場などで避難者からの健康相談などに対応。派遣期間中は避難所で「エコノミークラス症候群」による死者が出たこともあり、避難者へ体を動かすように声を掛けることと感染症の予防に重点を置きつつ、避難者の話を聞き、心理面へのケアも行った。
活動の中で特に問題となったのが車中泊への対応だった。今回の地震では住宅への被害が多かったこともあり、避難者数が増加。避難所に入りきれなかった人や、避難所生活を避ける人たちが車中泊生活を余儀なくされた。目代さんは「車の駐車場所が移動するので、相談を受けても追跡してケアにあたることが難しかった」と話す。現在、避難時の対策として車中泊に関する項目を設けている自治体は少ない。目代さんは「相模原でも同じ状況になり得るので、対策が必要」と指摘した。
地域の繋がりで復旧加速
市役所勤務の市橋剛輝さんと南区役所に勤める金子浩さんは4月26日から5月1日まで、熊本市南区富合地区や、城南地区にある避難所の運営支援やり災証明書の事務にあたった。避難所での仕事は避難者の意見集約や炊き出しなど多岐にわり、柔軟に活動することが求められたという。
一般的に、避難所の運営には避難者や地域住民が加わることも多く、2人が活動した避難所の中でもいくつかの地域では比較的若い地域のリーダーが中心となり、生活面でのルール作りを積極的に行っていた。一方で、高齢者が多い地域では住民主体の活動が少なく、行政が中心となって運営している状態が見られた。
市橋さんは「大規模災害が起きた時、職員だけでの避難所運営には限界があり、地域の力が必要になる。リーダーがいる避難所では自主運営も活発で、避難所を出た後の動きも早い」と地域住民の繋がりの強さが避難後の生活再建を左右する一因になると指摘。ただ、元の生活に戻る人が増えれば、残された人々だけでの自主運営は厳しくなることから「広域的な視点で他の自治体と連携しながら、担い手を確保することが必要になる」と話した。
金子さんは現在地域の防災活動などを所管する部署に所属しており「大規模地震が起きた時に何が必要となるかなどを、地域住民の方に伝えて今後の活動に役立てたい」と話した。市では現在、派遣した全職員に活動で感じたことなどを聞くアンケートを実施しており、今後の市の災害時対応に生かしていく考えだ。
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