NHK交響楽団に所属し、12月21日(水)に相模原市民会館でコンサートを行う 坪池 泉美(いずみ)さん 中央区在住 35歳
夢の舞台で充実の時を
○…オーボエ奏者として、生まれ育った相模原で初めてソロコンサートに臨む。「N響」の公演は都内で行われることがほとんど。地元での開催を前に「遠方だと声を掛けづらいですが、地元の友人などを誘えるのでありがたい」と笑みをこぼす。普段は楽団の一員として舞台に立つ機会が多いが、今回は自らが主役。「オーボエを単体で聴く機会は少ないと思うので、独特の音色を楽しんでほしい」
○…中学生の頃から「N響アワー」を観る音楽好きな少女だった。中でもオーボエの音色に心奪われ、同じ舞台に立つことを夢見た。中学でオーボエを吹き始めると、高校、大学でその腕に磨きをかけ、大学卒業後は現地講師からの誘いで音楽の本場・ドイツに留学。「個性」が重視される指導に戸惑うも、次第に自分らしい演奏が身に付き手応えをつかんだ。4年間の留学を経て帰国すると、権威ある「日本音楽コンクール」で入選。自信を胸に長年の夢であった「N響」の試験に挑んだ。一度目は最後の一人まで残るも落選。あきらめかけたが、審査員から「あなたならもう一度一番になれる」と声を掛けられ、再挑戦を決意。苦難の末、見事合格を果たし、大舞台への扉を開いた。
○…自他ともに認めるグルメ通。公演や指導で全国を回り、その土地の逸品を食す。「福岡で食べたうなぎのせいろ蒸しの味が忘れられません」。公演後、同僚と行う「宴」も楽しみの一つ。演奏の緊張から解放され、仲間と過ごす時間は何ものにも代え難い。
○…「N響」に所属し、3年目を迎える。技術を維持するには日々の鍛練が欠かせない。辛い時には留学時代の恩師の「練習は演奏が楽しくなるためにしよう」という言葉を噛みしめ、自分をさらに高めていく。他の楽団と比べて公演の収録が多く、「毎回緊張しますが、今は慣れてきました」と白い歯を見せる。夢に見た「テレビの向こう側」で今、充実した時を過ごす。
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