相模原市立博物館レポvol.10 収蔵品展「江戸から明治の津久井」 民俗担当学芸員 加藤隆志
突然ですがここで問題です。写真は市内の駅の以前の姿です。現在のどこの駅でしょうか。ヒント1・写真では小さくて見にくいのですが、下側に「與(与)瀬停車場」と書かれています。ヒント2・JR中央線の駅です(市内の中央線の駅は二つしかありません)。
もうお分かりですね。正解は相模湖駅です。市内を通るJR中央線の路線の八王子〜上野原間が開通したのは明治34年(1901)8月で、当時藤野駅はまだ設置されていませんでした(藤野駅開業は昭和18年)。相模湖駅も開業当時は駅がある地区の名称の与瀬(よせ)駅で、昭和31年(1956)4月に現在の相模湖駅に改称されました。
実はこの写真は、旧津久井郷土資料室に保管されてきた絵葉書によるもので、博物館で開催中の収蔵品展「江戸から明治の津久井」では、こうしたかつての津久井地域を中心とした風景の写真を、新旧の地図とともに現在と対比して展示しています。展示はもちろん写真ばかりではありません。例えば、津久井地域の江戸時代前期に記された古文書、相模川や相模湖等での観光パンフレットやポスター、相模湖でカヌー競技が行われた昭和39年(1964)東京オリンピックの関連資料、相模川の川漁の道具、大正8年(1919)に当時の内郷村(現在の緑区若柳・寸沢嵐)で実施された柳田國男らによる農村調査資料など、多くの資料を基に津久井地域の歴史と文化を示しています。
そして、必ずしも地元に関わるものだけではなく、第二次世界大戦以前に刊行された「少年キング」等の雑誌類もあります。また、市民ボランティアの皆様が長年かけて整理中の商店のチラシ・包装紙・キャラメル箱・マッチ箱など、ここにはとても書ききれないほどの実に多様な資料も展示しており、その点数は展示全体で約1200点にも及びます。収蔵品展の会期は9月3日(日)までです(8月27日(日)には関連イベントあり)が、是非、博物館で懐かしい、あるいは珍しい数々のモノをご覧いただければと思います。
■相模原市立博物館【電話】042・750・8030
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