「寝たきりゼロ」「ボケ防止」―。南区相武台にある総合スポーツ施設「ミハタスポーツセンター」で、草の根的に人気を集めている活動がある。特別な思いを込めて付けられた、その名前は「シャンバラ」。サンスクリット語で、”理想郷”という意味だ。
ここではストレッチやダンスなどの運動プログラムが用意されており、一見すると単なるスポーツクラブのような活動に見える(=写真)。しかし、その中で目立つのは高齢者の姿。70歳を超える女性も参加しており、単なるダイエットや体型維持のための活動にとどまらない内容となっている。相武台エリアは高齢化率が区内で最も高い地区。運動を通じた「理想の地域社会」を実現するための場所であり活動、それがシャンバラだ。
「『足腰が痛くて、もう運動なんてできない』。そう思っている人にこそ、むしろ体を動かして欲しいんです」。座間市緑ヶ丘に住む、この活動の代表者であり、同センター内のダンス教室の主宰者を務める大貫由紀子さんは、自身の経験からそう話す。大貫さんは、ある時リウマチを発症。そのリハビリのために、個人でストレッチを行っていた。そのメソッドを活かした形で、約3年前にシャンバラは始められた。
元々はリハビリ
当時は自身も含め、リハビリが主目的で、この活動に参加し始めた人ばかりだったという。ほとんど寝たきりのような方もいたそうだ。だんだんと「以前みたいに体が思うように動く」「薬を飲まなくてもいいようになった」などの効果が参加者に現れてきたとのこと。現在は、週16のプログラムが用意されており、80名ほどの人がメンバーに加わっている。あるプログラムでは、ペアになってヨガのストレッチやリンパマッサージ、足ツボなどを互いに施し合う。
「体を使った活動を通じて、人が人を癒す場所を、社会に増やしていきたい」と、大貫さん。かつて、訪れたことのある、タイの寺院には病人も含め、多くの人が集っていた。そこでは、互いに病状を気遣い、時には容態のいい人が他の人を看病する相互扶助の関係が築かれていたそうだ。自然と助け合いが生まれる、理想的な光景が、「いまの日本の社会には欠如している」と大貫さんは感じている。
「頼りっきりは×」
また、大貫さんは、健康への自己責任を参加者に説く。「体が悪くなると、私たちは医者に行く。けれどもその前段階の予防として、人任せではなく自分の体には自分で責任を持つことが大切。そして同時に、周囲の仲間の健康にも気を配る。シャンバラは体をいたわりあう場です」。自分たちでできる、運動を通じた福祉の実践をこれからも地域で行っていく。
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