相模原市戦没者遺族会(稲垣稔(みのる)会長)が8月15日(木)、市慰霊塔(南区東大沼1の17の1)で参拝事業を執り行う。市が後援する。終戦記念日に市内で慰霊行事が実施されるのは今回が初めてで、当日は誰でも参拝ができる。
市内では毎年10月に、市遺族会主催の「みたま祭り」や、市主催の「相模原市戦没者合同慰霊祭」などの慰霊行事が行われているが、8月15日の終戦記念日に特別な催しをこれまで行うことはなかった。
同日は例年、市遺族会会員らは、政府や県遺族会が主催する追悼式に参加したり、個々に市慰霊塔や市内の慰霊碑に参拝するなどしていたという。そんな中、市民から寄せられた「相模原市内でも8月15日に何か催しを行っては」との声を市が遺族会へ伝えたことから、今回初めての実施へと結びついた。
当日は市遺族会会員と市職員立ち会いのもと、自由に参拝や記帳などができる。特にセレモニーなどは行われないという。参拝時間は午前11時から午後3時まで。希望者は直接会場へ。当日、時間内は慰霊塔の敷地内が駐車場として開放される。
開催場所となる市慰霊塔は、1943年8月に旧日本軍によって「相模忠霊塔」として建立され、52年に条例により「相模原町慰霊塔」と改められた。市内の戦没者を永遠に祀る”聖域”とされ、「市の合同慰霊碑」と位置付けられている。
市戦没者遺族会は、市内に住む、戦地で肉親を失った遺族で構成されている団体。今年で創立66周年を迎え、2012年度末の時点で会員数は1377人。毎年春に中央区で開催される「相模原市民桜まつり」で戦没者の遺品や手紙、写真、死亡告知書などを展示した「平和祈念パネル展」を企画するなど、戦争の悲惨さを風化させないための活動を行っている。
市内4人の記憶
2011年に県遺族会は、戦後65年記念誌『逢いたかった』を発行した。市内からも4人が寄稿している。これを受けて市遺族会では「次世代に平和の尊さを伝えたい」と、市を通じて市内各公立中学校に50冊を寄贈した。
緑区元橋本町に住む鈴木勝さんは、亡き母が戦死した父に捧げた短歌数首を記す。「今日よりは/大きな海原/吾子と行く/われまもりませ/君がたましい」他。
関根伸一さん(南区御園)の父が戦死する約一カ月前に書いたハガキには、「返信不要」の朱文字が。これは軍部が付け加えたもので、父親が激戦地へ赴いてしまった事実を暗示させている。
南区麻溝台の野澤とみえさんは亡くなった父への思いや、未亡人となった母の姿を短歌にしたため、緑区小渕の秦(はた)範子さんは、幼い自分と妹を、働きながら育てた母への感謝と、戦争の愚かさを綴る。記念誌は市内図書館で閲覧できる。
15日の慰霊塔参拝についての問合せは市地域福祉課【電話】042・769・9222へ。【中面に関連記事】
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