前回東京五輪 「人生変えた」聖火
2020年五輪の東京開催に沸く中、この様子を感慨深く見つめていたのが、中村幸一さん(66歳・南区新戸在住)だ。前回の1964年東京大会で聖火走者を務めた。市代表として、ただ一人トーチを持って走りきった中村さんに五輪を振り返ってもらった。
中村さんは当時、相原高校に通う3年生。陸上部に所属し、800mなどを走る中距離走者だった。市内選出の聖火走者は他に8人いたが、トーチを持って走ったのは中村さんただ一人。その理由を「(中距離走者は)足と腕をしっかり振る走り方が格好良く、様になるから」と話す。
走ったのは、藤沢駅から戸塚区内までの国道1号線約2Kmのコース。国内で初めて開かれる五輪の熱狂をそのままに、沿道は大勢の人だかりで埋め尽くされ、物々しい雰囲気となった。中村さんの前には先導の白バイ、パトカーが並んだ。当時は他の選出者と一団で走るスタイル。声援が飛ぶ中、トーチの火が頭に付かないように注意しながら慎重に走った。頭の中は、戸塚の走者につなぐことでいっぱいだった。「もし渡せなかったら、大変なことですから」。大役を果たし、「走らせてくれて、感謝しかない」と喜びを語った。
あれから人生が変わった。市職員、スポーツ課長、さがみはらグリーンプール初代館長を歴任。導かれたように、スポーツの道を歩んできた。そして何よりも東京五輪は「自信をくれた」。あの熱狂の瞬間がまた、7年後にやってくる。当時はマラソン銅メダリストの円谷幸吉さんが憧れだったと話す中村さん。自身は国立競技場にも足を運び、スタンドから観戦した。「次もぜひ見に行きたい。それがこれからの夢」
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源氏物語を知る4月18日 |
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