南区生まれの300句 相模台・水野さん 投稿川柳が句集に
南区相模台在住のコピーライター・水野タケシさん(48)=右写真=による川柳の句集『仲畑流万能川柳文庫【1】水野タケシ三〇〇選』がこのほど、毎日新聞東京センターから発売された。これは水野さんが毎日新聞の川柳コーナーに22年間にわたり投稿し、入選した中から、選りすぐりの作品をまとめたもの。今年7月末に発行され、すでに3刷という人気ぶりだ。
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ページをめくるたびに思わずにやけてしまう。五・七・五という限られた音の中で、何気ない日常生活に潜んだユーモアを気づかせてくれる。
水野さんはこの「万能川柳」コーナーがはじまった1992年から、毎日5句ずつ投稿し続けている。コピーライターの仲畑貴志さんが企画したこのコーナーは、毎日仲畑さんが選んだ18句が入選作品として紹介される。水野さんはこれまで合計1000句以上が掲載されており、ほぼ1週間に1句のペースで登場しているそう。
その実績から過去には年間大賞、年間特別賞、毎日歌壇賞などを受賞。2010年には万能川柳の殿堂入りを果たしている。「最初、1句だけ送ったら掲載されたんです。秀逸マーク(その日最も優れた作品)をもらえるまで投稿しようと思い、選ばれたのですが、『まぐれ』かなあと…」。気がつけば投稿数は1万回以上にのぼっている。
創作は早朝ランで
句集のまえがきで仲畑さんはいくつかの句をあげ、それぞれ解説を添えている。「外人に/道を教えて/お辞儀する」(ちょいと書けないユーモアセンス)、「俺を見て/みろよと言って/慰める」(泣きを超えて哀れに至る)、「神様の/ 返事のような/鳩の糞」(軽みと深遠)*カッコ内は仲畑さんの評
水野さんは毎朝4時に起き、ランニングをしている。日々ここで川柳を考えるそう。季節の移り変わりを肌で感じ、ラジオで世の中の話題を吸収。頭を回転させる。「1時間で10句浮かぶこともあります」。体調管理にと、10年前からはじめたこの習慣。自宅周辺を10Kmから30Km程度走る。「最初は相模大野の公園を一周しただけで足を痛めました」。今ではフルマラソンを3時間32分で走りきる。
なお、東京都出身の水野さんは25年前から、小田急相模原駅周辺で暮らしている。「引っ越してきたときは9階建てのマンションに住んでいて、そこが一番高かった。みなとみらいも一望できました」。来月、この街には29階建ての再開発ビルがオープンする。「昔は(南口の)イトーヨーカドーで花火があがったり、サウザンロードにはお祭りがあったり、活気がありましたね」。投稿歴は22年、つまり水野さんの川柳はほとんど「南区」で考えられたもの。句集は「南区生まれの300句」であるとも言える。
『仲畑流万能川柳文庫【1】水野タケシ三〇〇選』はA6判114頁、一冊800円。詳細は毎日新聞・万柳クラブ事務局【電話】03・3212・2349へ。
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