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今も響く「貢さんの教え」 東海大相模OBが語る

公開:2014年7月10日

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1976年12月、東海大学付属相模高校グラウンドにて。前列中央が原貢さん。後列中央は息子の辰徳さん=提供:三協フォートサービス/原貢さんは佐賀県出身。1966年、東海大相模高野球部監督に就任。春・夏合わせて8度の甲子園出場で優勝1度、準優勝1度の成績を収めた
1976年12月、東海大学付属相模高校グラウンドにて。前列中央が原貢さん。後列中央は息子の辰徳さん=提供:三協フォートサービス/原貢さんは佐賀県出身。1966年、東海大相模高野球部監督に就任。春・夏合わせて8度の甲子園出場で優勝1度、準優勝1度の成績を収めた

 7月12日、全国高校野球選手権神奈川大会が開幕する。「甲子園」をめざし、県内190校が12会場で熱戦を繰り広げる。神奈川の高校野球を語る上で欠かすことのできないのが、今年5月に逝去した東海大学付属相模高校(南区相南)の元監督・原貢(みつぐ)さんの存在。貢さんが率いた「相模」は、春夏合わせて8回の甲子園出場を果たし、1970年夏には全国制覇を成し遂げた。原貢さんはどのような監督だったのか。教え子たちに当時の思い出などを聞いた。

鋭い眼光

 「眼光が鋭く、常に見られている緊張感がありました」と話すのは、巨人軍・原辰徳監督(11期)の1期下・12期生で内野手として1976年夏・77年夏の二度甲子園出場を果たした岩永一志さん(55歳・横浜市在住)。現在は田名の社会人硬式野球チーム「相模原クラブ」の監督を務めている。岩永さんは、貢さんに2年間にわたり指導を受けた。練習の際、よそ見をしようものなら、「容赦なく罵声が飛んだ」と話す。

 一方、根性論が占めていた時代にあって、「監督は先見の明があった」とも強調する。今では当たり前となっている「水分・塩分補給」を認めていた。重要視したのは、何事にも逃げず、自ら考え、自ら鍛える姿勢。「自分を含め、相模の選手は今自分に何ができるのかを常に考えていました。監督(貢さん)が自主性を尊重して下さる分、足りなければ、自ら鍛えなければなりません」

 あれから40数年。岩永さんは、同クラブの監督として選手に同じことを求め、2008年にはクラブ選手権で初の全国大会出場を果たした。「監督に今も野球を続けていることを伝えたときは微笑んで頂いた」と話した。

平等に情熱注ぐ

 同校野球部13期生の梅澤正彦さん(54・緑区下九沢在住)は1年時の1年間、貢さんから指導を受けた。「当時は怖くて目を合わせることもできませんでした」と今では笑って振り返る。

 卒業後、梅澤さんは再び、貢さんの指導に触れることとなる。教員となり市立新町中(南区)の野球部顧問の時だ。「お孫さんの菅野智之さん(巨人軍)が入部した関係で、監督(貢さん)がよく覗きに来たのです」。貢さんはすべての子どもたちに平等に接し、「粘り強い子を育てたい」と情熱にあふれていたという。梅澤さんはその後異動となり、今は市立相模丘中(緑区)の野球部顧問を務めている。「野球を通して、生徒を育てていきたい」と意気込んだ。

「日常から真摯たれ」

 13期生の内野手・田中正行さん(54・厚木市在住)は、当時野球部の寮で原辰徳さんと同部屋だった。先輩たちから、自分の身の回りのことは、自分で行い、周囲に感謝する心を学んだ。そして父親となった田中さんも、自分の子どもたちに炊事や野球の道具の手入れなど、生活態度を厳しく指導した。今年、田中さんの長男・広輔さん(同校OB)が広島東洋カープに入団。三男の俊太さん(同校OB-東海大)も7月にオランダで開催される大学野球の日本代表に選出された。野球の前に「日常生活が真摯であれ」という教えは、「どんな環境でも活かされるはず」と目を細める。

 教え子たちは、「努力をせずに諦めたりしない」、「決して泣き言を言わない」、「逃げずに最善を尽くす」姿勢を貢さんから学んだ。今もなお、その教えは様々なグラウンドで引き継がれている。3人の教え子たちは「真っ直ぐ真剣勝負をして欲しい」と神奈川大会に臨む球児にエールを送った。

野球部OBが経営する居酒屋「和田金」(大和市)にて。左から岩永さん、梅澤さん、田中さん、そして店主の和田徳男さん
野球部OBが経営する居酒屋「和田金」(大和市)にて。左から岩永さん、梅澤さん、田中さん、そして店主の和田徳男さん

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